[とくダネ!ナオキ 第11話]マニュアル評価における安規情報
今回もマニュアル評価がテーマですが、免責だと思っていても実際には免責にはならないということについて教えてください。
いくらマニュアルに記載しても、免責にはならない記載が多いということです。 なぜなら、PL法(製造物責任法)というのは製品自体に欠陥があれば、マニュアルに書いてあろうがなかろうがアウトです。つまり、説明の有無は従ということで、あくまでも製品そのものの安全性が主です。
説明責任は残留リスクについてだけ要求されるのですから。 残留リスクとは、設計上、あるいは使用目的において、どうしても避けることのできないリスクです。 リスクアセスメントにおいて、それを説明しなさいということになっています。 ところが、残留リスクではないものを一生懸命説明しているケースがあります。
それはあり得ない注意喚起を記載しているということですか?
そうですね、書いてあろうが無かろうが、そういうことは問題にならないという記載です。 必要だからではなく、不必要な情報がいっぱい記載されているのです。つまり残留リスクではないものまですべて想定しているのです。これは的を射たやり方ではありません。
それは以前「安規情報はもっと整理できる」でお聞きしたように、整理せずどんどん記載だけを追加していってしまった、ということですか?
要するに、ユーザーが絶対に取らない行動やあり得ないことを書いてしまっているのです。 たとえば、完全に密閉されたリチウムイオン電池を内蔵している製品で、液漏れに関しての記載が書かれています。ネジもなく、ユーザーは開けようがないのにその可能性について書いてしまっているのです。万一液漏れが発生しても、密閉されていますから製品から液が漏れることはありません。
なるほど、もしそのような製品で液漏れが起きたら別の問題が発生しているということですよね。
よしんば液漏れが発生したとしたら、それは製品の欠陥として扱われます。液漏れが発生するような構造だったということになります。
そういう事象に関しては安規情報として記載しなくても良いということですか?
ユーザーが電池にアクセスしようがない製品ならね。
どういうことかと言うと、電池工業会がリチウムイオン電池の性質としてこういうことを記載しなさいと言っている。でも、それはユーザーが電池にアクセスできる状態にあるということが大前提なのです。電池にアクセスできないのに、そういうことが起こること自体おかしいということです。
電池の廃棄の仕方に関しても、どう考えても不可能なことが書かれていることがあります。電池を単体で捨てないでくださいと書いていても、電池が取り出せない製品ならぶっ壊すしかありません。(笑)
そうではなく、この製品には電池が内蔵されていますから、廃棄する場合は所定の機関に連絡してくださいという情報だけが必要なのです。
昨日購入したBluetoothのヘッドセットには、リチウムポリマー電池が内蔵されていて寿命に到達したら終わりです、としか書かれていませんでした。つまり廃棄の仕方については一切記載されていません。
製品の廃棄については必ず書く必要があります。電池が内蔵されていると書かれているだけまだマシかも知れませんが、それをゴミ箱にポイっと捨てて、ごみ収集車で圧砕される際、発火や爆発の原因になります。
もちろん毎回発火することはないですが、発火しない保証はどこにもありません。リチウムイオンのそばにあるもので、条件が揃えば発火する可能性があるのです。
そうした事故が発生した場合、メーカーの責任は問われますか? もしくは廃棄したユーザーの責任になりますか?
製品に廃棄の仕方が記載されていた場合はユーザー責任が問われるでしょう。でも、それが書かれていなかったら、メーカーの責任が問われると思います。
マニュアル評価の話に戻りますが、そういった安規情報の精査も含めて依頼できるということですか?
そうです。こういうことを書いてはいけないとか、そう書けばこの可能性があるからこう書いた方が良いとか、多角的に分析します。今日お話しした内容などは必ず評価します。
先に述べましたが、要望があればセミナーも行いますし、まずはセミナーから実施した会社もあります。
そういえば、先月は梱包関係の業界でセミナーをされたとか。
そうです。少し分野が違いますが大阪の梱包関係の組合でセミナーを行いました。段ボールなどの梱包物にも法的に記載や表示が必要なものがありますから、規格ではこうなっている、国際的にはこのように扱われているなどのお話をしました。
そういう事例もあるのですか?
あります。梱包物にどういう記載が必要か法律や規格をすべて調査して、ラベルの内容やデザインまで対応しました。パセイジって意外にいろんなことをやってるんですよ。
これなんかそのときの事例です。製品で使われている有害化学物質については法的に表記する必要があって、このようなラベルが梱包材に必要ですよとコンサルティングしました。
パセイジのマニュアル評価は改善計画も提示するわけですね。
そうです。パセイジのマニュアル評価はどこに問題があるかだけではなく、それをどう改善するか、このように解決しましょうという具体的な部分まで提供します。その成果が出ているマニュアルはいくつもあります。
たとえば、以前マニュアル評価をしたメーカーでは、欧州向けのマニュアルを日本語から翻訳するだけでリリースしていました。日本では良くても、外国だとそのままでは良くないことも往々にしてあります。そこで、パセイジのライタースタッフがこれはこうしたほうが良い、あれはこうした方が良いなどを積み重ねることで、どんどん改善されました。
いずれにしてもマニュアル評価は品質向上のためにも必要なことだと思いました。
マニュアル評価をリピートで依頼されることも多いです。改善を積み重ねて、マニュアルコンテストの受賞を目標の1つにされているところもあります。
マニュアル評価についていろいろと伺ってきましたが、そのサービスについて整理させてください。
まずマニュアル評価サービスとしては、
・評価報告書
・報告会(質疑応答も含めて)
・改善提案
これらが具体的な成果物ということですね?
そうです。他にも、必要に応じて技術規格を調査したり、リスクアセスメントに関する専門家の周旋を行ったり、要望があればCS部門や設計開発部門とも連携します。
このパセイジのWebサイトを見て、マニュアル評価を依頼したいという方がおられた場合は?
まずはお問い合わせから、どういうマニュアル評価を依頼したいかをご連絡いただければと思います。
それにより、私も含めてチームを編成します。本日もありがとうございました。