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[とくダネ!ナオキ 第15話]生産性向上のための業務マニュアル

先日お客様主催のウェビナーで講師をされたそうですね。
セミナーのタイトルは「プロが語るマニュアル整備の効果とポイント」だったそうですが、一般論の話だったそうで、このコーナーでも紹介させてください。

働き方改革や新型コロナウイルスの影響を受けて、私たちの働き方が大きく変わりつつあります。その一環として、業務内容の標準化や情報共有が適切に行えるよう、マニュアル整備の需要が高まっています。

しかし、マニュアル整備は実際にはなかなか進まないのが現状です。そこで、何から始めれば良いのか、それをしてどんなメリットがあるのか、マニュアル整備の効果やコツなどをお伝えしました。

ではマニュアル整備のポイントや重要性について教えてください。

業務とひと言に言っても業態や会社によりさまざまですが、その業務遂行において「マニュアルはありますか?」というのが1つのテーマです。

つまり業務マニュアルということですか?

そういうことです。まずはその背景ですが、これは皆さんもよくご存じだと思いますが、日本は他の先進国と比較して労働生産性が低いと言われています。OECD加盟37か国中、時間当たりの労働生産性が21位、一人当たりのそれは26位です。

ただし、製造業だけに限って言うと31か国中16位となっています。製造業だけに絞ると、労働生産性が相対的に少し上がっています。

日本の労働生産性

そもそも、どうして日本の労働生産性は低いのでしょうか? 製造業に限ると健闘しているように思いますが。

労働生産性はいわゆるブルーカラーとホワイトカラーの労働時間を合わせて計算しています。我々の感覚では、自動車産業を代表として日本の製造業における労働生産性は高いと感じていますよね。

工場のオートメーション化や産業ロボットを含めてそういうイメージがありますが…

そうですね。ではなぜ低いのかということですが、一般論としてホワイトカラーの労働生産性が低いのではないかと考えられます。

具体的にどういうことでしょう?

いろいろありますが、仕事の属人化、IT化の遅れなどが挙げられるのではないでしょうか。それと昨今のコロナの影響によるリモートワークの増加により、慣れない仕事環境への対応や通信環境の整備が遅れていることも問題になっています。トラブルがいつ起こるかも知れないというメンタルも、非効率化の原因になっているかも知れません。

仕事の属人化とは、具体的にどういったことを言うのでしょう?

たとえば、担当者が休むと仕事が進まない。つまりその人しかできないので、仕事がストップしてしまいます。

複数の担当者がいる場合、だったら他の人がいるから大丈夫じゃないかと思いますが、一人が休むだけで意外に一部の仕事が進まなくなることも珍しくありません。

それはどうしてでしょう?

大きくは3つの要因があるのではないかと思います。

1つ目は、やり方やノウハウが担当してきた人の頭の中だけにあるということです。言い換えれば、やり方やノウハウが明文化されていないということですね。

やはり、ノウハウというものはみんなで共有することが必要です。これはよく言われることですが、1つの解決策は業務の標準化を行うことです。

標準化すれば、業務マニュアルが作りやすくなるというメリットがあります。

2つ目は、そのように明文化された業務マニュアルがないことです。

このことが仕事が多くても他人に頼めない現状の要因になっています。つまり、一人の担当者に仕事が集中してどんどん負荷が大きくなってくる。そうすると、他人に頼みたくてもどの部分をどのように頼んだら良いのかさえ分からない、仕事を分けるということが難しくなります。

頼みたいんだけどイチから説明しないといけないし、間違われてもいけないし、そんなチェックをするくらいなら自分でやってしまえと抱え込む人も少なくありません。そういう人が身近に居ませんか?(笑)

仕事を分けることができない根本的な原因は何でしょうか?

理由としては、仕事をタスク(作業手順)単位に分解していないからです。

仕事をタスクという小さな単位に分類できると、そのタスクごとに業務マニュアルを作ることができます。タスク単位でマニュアルが構成できると、今度はそれを合わせて1つの仕事としてのマニュアルが完成します。そういう流れで業務マニュアルを作っていけば良いのです。

属人化する要因の3つ目は、IT化の遅れです。

IT化の遅れとは、IT機器の利用やデジタル化などのことですか?

もちろんインフラも必要になってきますが、どちらかと言うと基準やルール的な約束事が決められていないという遅れです。

経験上、いろんな会社の業務データの作り方などを見てきましたが、1つは確固たるルールがないということです。たとえば、作成のルール、データ受け渡しのルールなどが明確にありません。

人によってバラバラというのが実情ではないでしょうか。

もう1つはIT教育です。社員全員に対して、同じ教育がいきわたっていないといけないのに、それがうまく出来ていない。

このようなことは、作業を標準化する必要があります。でなければ、効率化や生産性を上げるということは実現できません。

データ作成ルールがないと

基準がないデータ作成は、無駄な工程を生みやすい

データ作成ルールがないと無駄時間が生じる

昨今のリモートワーク環境ではOJTがうまくいかないという問題もあります。

オンラインで教えるということは慣れないと難しいことです。オンラインで教えるとなると、トレーナーが必要になりますが、それだけではなく、オンラインで使えるマニュアルも必要になります。

つまりオンラインでは、双方で同じ紙のマニュアルを持って教える、というのも難しいことになります。

解決策としてはどうでしょう?

マニュアルがないという場合は新たにマニュアルを作るという必要があります。

マニュアルがあるのに問題が解決しないという場合は、どこに問題があるのかを探るということになります。たいていの場合、マニュアルが多過ぎるか、あっても役に立っていないということでしょう。

マニュアルが多過ぎる場合は積読つんどくになっていたり、しまい込んでいたりして、目的のマニュアルが見つかりません。そうすると、マニュアルを見るという機会がどんどんなくなります。

また、マニュアルがあっても役に立っていないという場合は、どこを読めばいいかわからないか、読むべき場所が見つかっても、書いてあることが理解できないことが多いのではないでしょうか。

読解力の問題なのか、執筆者側の技術的問題なのかはわかりませんが、そういうこともよく目にします。

では、有効なマニュアルを作成するためにはどうしたら良いのでしょうか?

絶対にやってはいけないことが1つあります。担当者にマニュアルを書かせることです。

いちばん良く理解している人に任せた方が、理にかなっているのではないですか?

もちろん業務担当者が一番よく分かっているでしょう。ただし、分かっている人というのは、分からない人の分からないポイントが分からないのです。

自分はよくわかっているからとタスクを省略してしまうこともあるでしょうし、自分のノウハウをそのままタスクにしてしまう場合があります。これでは、新任の担当者がそのマニュアルを理解して実践できるかどうかわかりません。

やはり、第三者がタスクを理解し、整理しながらマニュアルを作成する、という方がより良い業務マニュアルを作成できると言えます。

では具体的にはどのように進めればよいのでしょう?

社内か、部門単位でも構いませんが、マニュアル整備プロジェクトを立ち上げることです。そして、制作チームを作ります。つまりマニュアル作成を専門にするチームを作るのが第一段階です。そして、マニュアルを書く人が、担当者にインタビューして情報を集めてマニュアルを書くという作業が必要になります。

マニュアル作成チームには、社外の人間が入っても問題ありません。そこに我々のようなマニュアルの専門家が協力できる余地が生まれます。

マニュアル作成チームは具体的にどのようなことを行うのでしょう?

仕事をタスクに分解する、というのは既に述べました。この先が重要なのですが、マニュアルの要件を明確にするということが必要になります。

要件は視点を6つに分類して行います。

視点 要件
読者 マニュアルを読むのは誰か
状況 マニュアルはどのような状況で読まれるか
目的 タスクの目的は何か
技能 タスクに要求される技能はどのようなものか
作業 必要な作業と不必要な作業の明確化
成果 タスクの成果を具体的に
  • 仕事をタスクへ分解
  • 要件を明確にする(文書化する)
  • 要件を前提にタスクごとにマニュアルを作成する(明確化された要件は必ずマニュアルに記載する)
  • タスクのマニュアルを仕事単位でまとめる

以上ですが、最後の成果というのが最も重要です。そのタスクにより何ができるのかということ明確に書く必要があります。これがはっきりしていないと、役に立たないマニュアルになる可能性があります。

これを基準にマニュアルを作成していくということですか?

そうです。この基準で仕事をタスクに分解して、いくつかのタスクマニュアルを作るということです。

たとえば、1つの仕事を5つのタスクに分解する。それをまとめて、1つの仕事における業務マニュアルを完成させるということになります。

そうするとメリットがいくつも生まれてくるということですね?

このようにタスク要件を明確にしたマニュアルを作ると、仕事の評価基準を明確にできるという副次効果が生まれます。

逆に言えば、評価基準がないと仕事にかけた時間で人を評価してしまいがちです。この場合、何が成果になっているのかが不明確ですので、時間で評価するしかなくなります。

最悪の場合、だらだらと仕事をする人が出てきます。つまり残業が増えて、生産性も落ちるということになります。

リモートによるOJTという話題もありましたので、やはりオンラインマニュアルの方が好ましいのでしょうか?

そうですね。オンライン化するとOJTが容易になることは既に述べました。

それだけではなく置き場所にも困りませんし、ネット環境があれば、世界中のどこからでも、いつでも読むことができます。会社の机の上に置いた紙マニュアルだけでは、出張時や自宅から見ることはできません。

ではオンラインマニュアルは具体的にどのように作っていけば良いのでしょうか?

オンライン化できるITに強い人材がいなかったり、作業に手間がかかったりすると思われるかもしれませんが、ツールを導入することでそのハードルを下げることができます。また、そうすることで多数のマニュアルの管理が容易になったりします。

パセイジでも導入支援をしているツールがありますので、そちらをご覧ください。

COCOMITE(ココミテ)

本日もありがとうございました。

徳田直樹 プロフィール