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[とくダネ!ナオキ 第114話]今どきのデザイン

今は撤去されているのですが、最寄りの地下鉄の駅の通路に次のポスターが貼られていました。このデザインを見て我が目を疑いました。

地下鉄の駅の通路に掲示されたポスター

2行目の「じゃなくて」にかかった線は私には取り消し線に見えます。「いこう」にかかった線は「う」を構成する大事なスペースを消しています。これでは、「ろ」と読めないこともない状態です。

このポスター自体は人材募集の目的で作られたようです(社名は消してあります)。「コンサルの仕事をするかシステム開発の仕事をするかという2択で悩む必要はありません。どちらもやるという欲張りな選択も弊社ではできます。」ということを伝えるコピーです。
そのコピーを台無しにしているのが棒線を文字に重ねたデザインです。このデザイナーは文字情報を大切にしていないように私には思えます。コピーライターがかわいそうです。

右上の小さな文字で書かれた「コンサルとシステム開発を一気通貫する唯一無二になれ」は、少し古臭い表現に思えます。募集対象である若い人たちにはピンと来ないかもしれません。

次は2年前に第59話で取り上げたポスターの新バージョンです。

プラットホーム事故ゼロ運動のポスター

2年前は数値が「約50%」でした。

プラットホーム事故ゼロ運動のポスター

数値が下がったのは「歩きスマホ」が原因の転落事故が増えたせいかもしれません。

デザイン的には2年前のほうが私には衝撃的でした。今回のコミックス風のイラストは私には説明しすぎだと思えます。でも、そのほうが今の読者には効果的なのかもしれません。参加鉄道社局の数が示されています。「社局」というなじみのない助数詞は東京都交通局が参加しているためだということは日本人にはすぐ分かるでしょう。
しかし、長く日本に住んでいたとしても、外国人にはほぼ理解できないだろうと思います。社局という助数詞は日常会話ではほぼ使われないし、日本語学校でも習わないでしょう。

すこし問題があると感じた表示例を紹介します。リフターが付いたトラックの後部に表示されたメッセージです。このメッセージはトラックの所有者が記載したものでメーカーによるものではないと思います。

トラックの後面

メッセージ部を拡大したのが次です。

トラック後面に表示された「操作時は2メートル離れよ」

それぞれのメッセージの対象読者がはっきりしません。一番上のメッセージ「操作時は2メートル離れよ」は、「どこから」2メートルなのか明示していません。
メッセージの対象読者は、すなおに解釈すれば、リフターを操作する人です。しかし、リフターを操作する作業者は車の左側面の後方下部にあるスイッチを操作するので、このメッセージの対象読者にはなり得ません。作業者以外の人がトラックから2メートル以内の位置に近づけば作業者が注意するでしょう。このメッセージは、位置が高いので、見上げない限りトラック後方2メートル以内に立つ人の目には入りません。これは誰に向けたメッセージなのでしょう。

2番目のメッセージ「精密機械輸送車」についても特定の対象読者は思いつきません。精密機械を輸送している事実を伝えることで読者に何を求めているのでしょう。

最下行の「接近注意」は走行中に直後を走るドライバーに向けた一般的な注意でしょう。うがった読み方をするなら、2番目のメッセージと組み合わせて「精密機械を運んでいるので追突すると賠償金が高くつく恐れがあるので、接近しないほうがいいですよ」と解釈することもできます。いずれにせよ、これらのメッセージにあまり効果はなさそうです。

最後は、ちょっと褒めてもよいかなと思った例です。日ごろ東海道新幹線で移動する人は目にしたことがあるかもしれません。株式会社SHIFTのポスターです。

株式会社SHIFTのポスター

文字列をセンタリングし、改行するたびに、文字列の長さを、長い、短い、長い、短い、長い、と変化させています。4行目の「24/365稼働する」に一瞬戸惑いましたが、「24時間365日稼働する」であることにすぐ気が付きました。
この一瞬のとまどいが効果的です。戸惑わせることを意図したのか、文字列の長さを周期的に変化させるデザインを優先して文字数の少ない表現にした結果、読者を戸惑わせるようになったのかはわかりませんが、私の興味を引くことには成功しているので、効果のあるポスターであると言いたいです。ちなみにホームページでは「24時間365日」と省略なしで表示されています。「ネムラナイ」というネーミングも、安易と言えば安易ですが、「ヤスマナイ」にしなかったことを評価したいと思います。

徳田直樹 プロフィール

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