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とくダネ!ナオキ
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[とくダネ!ナオキ 第59話]98%超ってあり得るの?

今回はパーセンテージ表記のある広告がネタだとか?


例1


例2


例3

車内広告やネット広告のこのように大きな数字を見ると、私の頭の中は疑問符で埋まってしまいます。

確かに、いずれもほぼ100%という表現ですね。これらの数値の根拠、というテーマですか?

こんな満足度は普通ではあり得ないと思っているからです。数字が信用できないわけではないのです。
今の時代、裏付けをとらないでこのような数字を公表することは考えられません。それなりの調査をした結果のはずだとは理解しています。ですから、このような広告を見たときは紙面や画面の※(注釈)を探してしまいます。

以前話題にした景品表示法の優良誤認表示にもつながりますよね。

それもあり、このような数字の横には必ずと言っていいほど※が付いていて、紙面や画面の中のどこかに、どのようにしてこの数字が算出されたかが書いてあります。なければ数字の信頼性がなくなるからです。
これが目立たないことも多いのですが、上記の例ではわかりやすく書かれていました。それぞれの※の記載は以下のとおりでした:

例1:脱毛を完了した514名対象2019年12月18日~2020年1月31日実施アンケート結果

例2:××県内の店舗にてテスト販売を行い、ご購入者301名の方に対してモニターアンケートを実施。(2023/7/1~7/31)本商品の満足度について「大変満足・満足・普通」と回答された方の合計

例3:23年3月、飲用者414名/引用した感想を聴取(弊社調べ)。「とても美味しい・美味しい・どちらでもない・美味しくない」の中から「とても美味しい・美味しい」を選んだ回答者

私はひねくれモンなので(笑)、これらの記載にケチをつけたくなってしまいました。

なるほど(笑)、では順番に教えてください。

例1については「完了した514名」が気になりました。途中で不満を感じた人は完了しないと考えられるからです。完了した人でも1.4%(7人)も不満を持った人がいたのは問題とも言えそうです。

確かに! 完了した人の母数ですから、既に絞り込まれた結果と言えますね。オソロシイ。
しかも何について満足したのか、技術なのかサービスなのか、はたまたその費用なのかまったくわかりませんね。

例2の301名は母数として少し少ないような気がしますが、それはともかく、「不満なし」という表現が気になります。このように書かれると、かなりの人は満足した人が98%だったという印象を持つだろうと思われます。
この表現を使ったのは「普通」と答えた人を結果に取り込むためです。しかし「普通」は「満足」ではありません。

これはちょっとずるいと思います。さらに質問項目のすべてを書いていません。ネガティブな選択項目の表現によってアンケート結果は変わり得ると思います。選択しづらい表現だったかもしれないとうがった見方もできます。

これはずるいというか、厚かましいですね。もし「不満」を含めた4択であったならなおさらです。
日本人的な思慮もあると思いますし、もしその中から「普通」を選択したのならそれは満足していないということですよね。

例3は大手飲料メーカーのものです。さすがに例2のような隙はありません。ただアルコール飲料なので試飲に参加した人の多くはこのメーカーの商品が好きな人だと思われるので、この結果は予測可能ともいえます。でも商品の印象を良くする効果は十分にあると思います。

唯一マトモな記載に思えます。

これをネタに取り上げようと思っていたところ、今朝例1の広告が新しくなり、値が更新されているのを目にしました。

1.2ポイントアップですか!? ま、98.6%より99.8%の方が単純にウケますね。(笑)

※1の注によれば、データの取得期間が2023年12月15日~2024年2月29日、回答者数は461名です。
満足しなかった人は1名と素晴らしい値ですが、データの収取期間は1ヶ月半から2か月半に延長され、完了者は53名減りました。このポスターを見ただけでは驚異的な数字ですが、過去の結果を知っていれば?▲$…な結果です。私のように過去のデータと比較する人はほぼいないでしょうからこのポスターの効果は十分にあると思います。

胡散臭い…

ここで方向性を変えて正確でなくてもよい数字の表現について話したいと思います。
これは東京の地下鉄の駅構内で見かけたポスターです。

ままよくある手法ですが、きちんとデザインされていますね。

ここには「約50%」と書かれています。正確な数字を示す必要はないのです。「酔ってホームを歩かないで」などと表現するよりは、人身事故の50%は酔った客の事故であると書いたほうが、効果的に伝わるのです。

注意喚起ポスターですから法的な制限は広告ほどありませんね。私ならさらに盛ってしまうかもしれません。実際に遅い時間帯の事故は酔っ払い客の割合が増えるでしょう。

漢字で「半分」と書いてもインパクトは弱いでしょうね。やはり50%という衝撃的な数字を見せることで効果を高めているのです。数字の使い方としては上手だと思います。ただし、右下の「やめましょう 歩きスマホ」はご愛敬です。この記事を書く時点まで気が付きませんでした。1つの伝達媒体に2つの目的を与えては効果が低くなるという例だと思います。

私は左手の缶ビールらしいものが気になりました。

次は私がしてやられたと思った数字表現のマジックの例です。

これはある食品メーカーのWebサイトに表示されたコピーです。どこのメーカーかすぐにわかる人も多いと思いますが、一応社名は伏せておきます。私はこのコピーを目にしたとき「医師の94.9%が推奨するのだからこの製品を食すると体調管理に良いというのには医学的根拠がある」と思ってしまいました。

ま、概ねそのように思わせる表現ですよね。

このメーカーのサイトではこのデータのソースが読めるようになっていました。このデータソースを読んで、それが間違っていたことに気が付きました。

医学的根拠がですか?

データソースを読んだ結果、調査対象が医師でなくとも同じような結果が得られたのでないかと思いました。
元データのWebサイトの読者は医師であり、結果として調査対象者が医師だけになったということであって、医師が製品の効果を医学的に分析したとはどこにも書かれていないのです。
製品を試食したあとの感想を、あらかじめ用意した候補の中から選択してもらった結果を集計しただけでした。

「体調管理に良い」ことに医学的根拠があるとは私が勝手に想像したことであって、公開された資料のどこにもそのようなことは書かれていませんでした。反省!

いずれの例も、どこから景品表示法の優良誤認表示につながるのか、それには該当しないのか、またその基準について教えてください。

ま、今回はここまでで留めましょう。

徳田直樹 プロフィール