[とくダネ!ナオキ 第46話]スマホメーカー受難(記事)
エネルギーラベル規則(EU) 2017/1369を補足するスマホ及びタブレットに対する欧州委員会委任規則(COMMISSION DELEGATED REGULATION)案が2023年6月16日付で欧州委員会で採択された。
ここで欧州委員会委任規則について説明しておく。
欧州委員会は、EUの基本法や規制に基づいて、特定の法的権限を委任されており、詳細な規則やガイドラインを策定し、EU法の実施や具体的な実施手順を定めることができる。
欧州委員会委任規則(Commission Delegated Regulation)は、欧州連合(EU)における法的規制の一形態である。欧州委員会委任規則は、一般的には基本法や規制の目的や枠組みを具体化し、具体的な規則や要件を設定するために使用される。これにより、EU法がより具体的な形で適用され、一貫性と効率性が確保される。欧州委員会委任規則は、欧州連合全体の統一的な規制を実現するための重要な手段となっている。
この委任規則案にはサプライヤーの義務として以下のことが規定されている。
サプライヤーは、スマートフォン又はスレートタブレットに、附属書Ⅲに規定される形式で印刷されたラベルを添付することを確実にしなければならない。
附属書IIIに規定されるラベルは以下のとおりである。
ラベルは、少なくとも幅 68mm、高さ 136mm でなければならない。また、各項目の意味は次の通りである。
- a QR code;
- the trade mark;
- the supplier’s model identifier;
- the scale of energy efficiency classes from A to G;
- the energy efficiency class determined in accordance with Annex II;
- the battery endurance per cycle (ENDDevice), in hours and minutes per full battery charge, in accordance with Annex IV, point 1;
- repeated free fall reliability class determined in accordance with Annex II;
- repairability class determined in accordance with Annex II;
- battery endurance in cycles, in cycles, in accordance with Annex IV, point 2;
- ingress protection rating in accordance with Annex IV, point 3;
- the number of this Regulation, that is ‘2023/XXXX’
- 1サイクル当たりの電池持続時間と(VII)繰返し自由落下信頼性クラスはユーザーにとってありがたい情報である。また、(VI)修理可能性クラスは以前話題にした修理する権利に関係している。修理可能性クラスは、表4 に定める修理可能指標に基づいて決定される
表4 スマートフォンとタブレットの修理可能性クラス
修理可能性クラス | 修理可能性指数(R) |
---|---|
A (修理可能性が最も高い) | R ≥ 4,00 |
B | 4,00 > R ≥ 3,35 |
C | 3,35 > R ≥ 2,55 |
D | 2,55 > R ≥ 1,75 |
E(修理可能性が最も低い) | 1,75 > R ≥ 1,00 |
修理可能性指標は、附属書 IV の 5 に従って決定されるものとする。
附属書IVの第5項の内容は複雑なのでここでは紹介しない。原文を読んで確認していただきたい。
いずれにせよスマートフォンのメーカーには難儀な時代となったようである。