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パセイジ通信

とくダネ!ナオキ「上が北」or 「上が前」?
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[とくダネ!ナオキ 第34話]「上が北」or「上が前」?

私の世代は小学校で地図は北が上と習いました。大学生の頃ロシアの日本海周辺の地図を見せられ、南が上で、日本列島が逆さまなのに違和感を覚えました。

確かに、地図を真逆にすると地理的感覚がまったく違うものになりますね。日本周辺が極東と呼ばれることにも変な感覚を覚えます。

今回はその地図を話題にします。

今、街を歩いているといろんなところで地図に出くわします。特に駅の近辺に地図が多いですね。これはJR田町駅構内にある周辺案内図です。

JR田町駅構内の周辺案内図

この地図は斜め右下方向が北です。このようにWebサイト上で見る場合は微かに違和感を覚えますが、実際にこの案内図を目の前にしたときには全く違和感を覚えません。なぜなら、改札から出てきた駅構内の目の前にこの案内図があり、自分の向いている方向が案内図の上側であると直感的に理解できるからです。
ですから、目的地へ行くのに今の姿勢のまま右へ行けばよいか、左へ行けばよいかがすぐに判断できます。

そうですね。私も地図を見る自信はあるのですがよく方向を間違えます。

ところが地下鉄三越前駅周辺案内図では勝手が違いました。駅構内図はこれです。

地下鉄三越前駅構内立体図

私は半蔵門線の三越前駅で下車、図の中央付近の昇りエスカレーターに乗り、降りたあと斜め方向に歩いてさらに昇りエスカレーターに乗り、降りた直後に右にカーブを切りながら180度方向転換し、改札口に到達しました。ここまで何度か方向転換を繰り返しています。

迷路ですね。特に屋内では方向がつかみづらくなります。どこで勝手が違いましたか?

改札口を出ると右55度方向に地下通路が長く伸びています。通常、改札を出ると、左右90度方向か、正面0度方向に地下通路が伸びているので、ここで方向感覚が狂ってしまった。
地下通路を見て考えたのは「この通路はどこに向かっているんだ?」ということでした。周辺案内図を探すと改札の右手に次の案内図を見つけました。

三越駅前周辺案内図

改札を出て右90度方向に少し進み、35度左に向きを変えてこの案内図に向き合いました。この時点で方向感覚はまったく無くなっています。日本橋北側の変則十字路の地下にいたのですが、地上の道路が見えるわけではないのでこの周辺案内図ではぴんと来ません。次の部分拡大図を見ればわかるように、地下道の形が分かりやすく示されていないからです。

部分拡大図

たとえばGoogle Mapでは以下のような地図が表示されます。このように地下通路が分かりやすく表現された案内図が欲しいと思いました。

Google Map

Google Mapより

そうですね、Google Mapは主要な施設は高さ方向にも対応していますね。ただ、初めて訪れた場所でわかりやすいかどうかは疑問ですが。

前記周辺図の場所はこの図の「日本橋北詰」の文字列の「日」の位置です。そこにこの地下通路図があれば戸惑わなかったと思います。この地下通路図のさらに左には銀座線三越前駅があるので、そこまで記載してもらえたらより親切です。

冒頭でも述べましたが、地表の周辺図の場合は地表へ出たところにあるのが望ましいですね。それが無理であれば地表への登り口の直前に配置してほしいところです。

利用者の目線で考えるということですね。

次に示すのは地下鉄早稲田駅の階段手前の周辺案内図です。案内図1は改札を出て左手前方にある階段の手前にあるものです。案内図2は、案内図1の場所から階段を一つ昇り切ったT字通路正面にあります。

地下鉄早稲田駅の周辺案内図

地下鉄早稲田駅周辺案内図1

地下鉄早稲田駅の周辺案内図

地下鉄早稲田駅周辺案内図2

どちらの案内図も正対して上が向いた方向(前)ですが、続けて向きの違う地図を見せられると少し混乱してしまいます。ですから、この案内図は一つだけでよいのではないかと思いました。ただし、案内図2を見た後、左の階段を下って道路に面したときは案内図1のほうが分かりやすい。しかし、右後方の階段を上ったときは案内図2の上下を逆にしたものが分かりやすい。さらに言うと、案内図2は改札を出て前方通路の先のエレベーターを上ったときに分かりやすいのです。

案内図の設置者はきっと悩んだすえにこの2つの案内図を設置したのだと思いますね。

向いた方向の地図という原理で言えば4つ必要なことになりますね。そういう部分では行政もたいへんですね。

さて「上が北」か「上が前」かについては、地図を見ながら移動したり、地図を見た直後に移動する場合は「上が前」のほうが使いやすいのは間違いないようです。冒頭の田町駅の案内図がそうであり、カーナビの地図もそうです。

ただし、教科書の地図や広域地図の場合は「上が北」のほうが私の世代には馴染みやすい。その例ですが、地下鉄三田駅にある地下鉄案内図です。

地下鉄三田駅の地下鉄案内図

この場合目の前というより行き先やその路線を俯瞰するのですから、「上が前」という理屈は必要ありませんね。
私はカーナビを現地に向かっているときは北に固定して、周辺に近づいたら解除します。あるいはカーナビを広域の北固定にして、Googleナビを併用しています。これとまったく同じことですね。

そういうことですね。つまり森を見る場合は「上が北」の方が都合よく、木を探す場合は「上が前」の方がわかりやすいということです。

ありがとうございました。

徳田直樹 プロフィール