[とくダネ!ナオキ 第33話]どう違うのか0.00%と0%
通勤列車内で酔わない梅酒の広告を見ました。
メーカーで表示が異なるのではなく、同じメーカーのしかも同じ広告でということですね。
数学的に考えれば、0.00%には0.005%未満のアルコールは含まれる可能性があり、0%は0.5%未満のアルコールが含まれる可能性があることになります。
酒好きの私としては表現が悪いのですが、目くそ鼻くそのハナシですね。ノンアル飲料にはまったく興味がないというのもありますが(笑)。
ま、聞いてください。大手メーカーがしかもこういう広告の記載を誤るわけはありませんから、何らかの意図が潜んでいることに間違いはありません。
0.00%の方には「ノンアルコール」、もう一方には「本格梅酒仕込み」と書いてあります。このあたりが違いを示していると思いました。市販のノンアルコールビールの表示を調べてみたら以下のとおりでした。
サントリー | ALL-FREE | 0.00% |
---|---|---|
アサヒ | DRY ZERO | 0.00% |
キリン | カラダFREE | 0.00% |
日本ビール | 竜馬1865 | 0.000% |
ドイツ | Veritasbräu | 0.0% |
なるほど、やはり0%と0.00%の違いは何かあったのですか?
ビール以外のノンアルコール飲料を調べてもほとんどが0.00%という表示でした。これは何かの決まりがあると思い、アルコールの度数を表示するのは酒だから、まずは酒に関する法律を調べてみました。
流石ですね。酒税法は発泡酒が世に出てからずいぶん話題になったと思います。
その酒税法第2条には次のようにあります。
この法律において「酒類」とは、アルコール分一度以上の飲料(薄めてアルコール分一度以上の飲料とすることができるもの(アルコール分が九十度以上のアルコールのうち、第七条第一項の規定による酒類の製造免許を受けた者が酒類の原料として当該製造免許を受けた製造場において製造するもの以外のものを除く。)又は溶解してアルコール分一度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含む。)をいう。
表示に関しては食品表示法で酒類については1度刻みでアルコール度数を表示しなければならないと規定されており、13%などというパーセントでの表示も認められています。さらにビールでは0.5度刻みの表示も認められています。従って、5.5%という表示も認められているのです。
なるほど。アルコール系缶飲料でも商品により微妙に異なりますね。
酒税法によれば、アルコール分1%未満の飲料は酒類ではないとされています。ノンアルコール飲料は酒類ではないのでアルコール度数表示の法的義務はないということです。
インターネットを探すと「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」というものが見つかりました。飲酒に関する連絡協議会という団体が制定したと書かれています。この協議会は酒類業中央団体連絡協議会(酒中連)の9団体で構成されており、ビール酒造組合と全国地ビール醸造者協議会がそれに含まれます。
この自主基準によれば「ノンアルコール飲料とは、アルコール度数0.00%で、味わいが酒類に類似しており、満20 歳以上の成人の飲用を想定・推奨しているものとする。」とあります。つまり0.00%という表示はこの定義によると考えられます。
日本ビールはこれらの組合に加盟していないので0.000%という表示を使っているのでしょう。ドイツのVeritasbräuも組合には加盟していないので0.0%なのでしょう。
とにかくノンアルコール系飲料は一般的には0.00%と表示しているようです。さらに、「製品に20歳以上の者を対象としている旨を表示する。」とあります。上記広告にもそのことが下部に記載されています。
子供のころウイスキーボンボンは食べましたけどね。
それもお菓子に分類されるため酒税法には当たらないのです。それに料理やスイーツにもお酒を使用しますし、発酵食品にも微量のアルコール分は含まれます。
さて上記広告のアルコール度数表示ですが、0%の方は0.5%未満のアルコールが含まれる可能性があるということは既に述べました。本格梅酒仕込みだから梅酒からアルコール分を何らかの方法で除去したものでしょう。
ドイツではノンアルコールビールはビールからアルコールを抜いて作ると聞いたことがあります。最近出た国産微アルコールのビールも同じ製法です。のん兵衛の私には0.00%のいろいろ味付けをしたノンアルコールビールより微アルコールビールがおいしく感じられます。CHOYAの酔わない梅酒も0%の方がおいしいに違いないと私は思います。
実際に買って試されたわけですか! それは恐れ入ります。
私はノンアルコールや微アルコールを飲むくらいならコーヒーで我慢する方ですが…
ではなく、上記広告には0.00%と0%の製法の違いを分かりやすく説明してほしかった、という話です。
それにしても、アメリカでもSober Curiousという言葉が流行っているようですし、サントリーが提唱するスマートドリンクという言葉も目にします。時代も変わったと思いますね。
ところで、このスマートドリンクというカタカナ表記は妥当でしょうか?
以前にもそれを話題にしましたね。それについてはまた取り上げてみましょう。