
[とくダネ!ナオキ 第97話]大丈夫?日本語力!
日本語表現が気になってしょうがないポスターが最寄りの駅に貼ってあるので記事として書くことにしました。

次のようなポスターが駅構内の通路に貼ってあります。
このポスターは痴漢撲滅を訴えるポスターです。この縦の2行だけを読んで痴漢撲滅を想起する人がどれくらいいるのでしょう。私は横書きの「みんなの勇気と声で痴漢撲滅」を読むまでこの縦2行の文言の意図を理解できませんでした。
「知らない人だけど」で文言を始めたことにより「知らないふり」をする対象は痴漢行為ではなく「知らない人」になってしまうことにライターは気が付かついていないような気がします。さらに、「知らない人だけど」を使うことにより、この表現には論理的な矛盾が生じてしまいました。「知らないふり」というのは知っているからできることです。知らない人を知らない「ふり」はできません。痴漢行為を「見て見ぬふりはしない」ということをいいたくてこのコピーを書いたのだとすれば日本語力を疑いたくなります。
もし、私がこの2行を書くとしたら、テクニカルコミュニケーターらしく「痴漢、見て見ぬふりはしない。」というストレートな表現にします。でも、コピーとは言えないかもしれませんね。
例によって、ChatGPTに「知らないふり」と「見て見ぬふり」のニュアンスを比較してもらいました。「見て見ぬふり」を使うほうが適切といえそうです。
表現 | 意味の中心 | 主な対象 | よくある感情・評価 | 使用場面 |
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知らないふり | 知識を隠す | 情報・出来事 | 中立~やや肯定(気遣いなど) | 公的・書き言葉でも使用 |
見て見ぬふり | 問題を無視する | 行動・状況 | 強い否定的(卑怯、非道徳) | 社会・道徳的文脈 |