[とくダネ!ナオキ 第50話]AIと史家とテクニカルコミュニケーター
第49話の記事でChatGPTの結果を引用しましたので、今回はこれら生成AIをテーマにしたいと思います。
まずは記事中で引用した「カーボンフットプリント」について生成内容を見てみたいと思います。
「カーボンフットプリントとは?」
ChatGPT(GPT-3.5)、9月7日時点
カーボンフットプリント(Carbon footprint)は、ある製品、サービス、イベント、個人、または組織が直接的または間接的に大気中に放出する温室効果ガス(主に二酸化炭素、メタン、一酸化窒素など)の総量を測定するための指標です。この指標は、特定の活動やプロセスが気候変動に対する貢献度を評価するために使用されます。
カーボンフットプリントは、以下の要因によって影響を受けます:
- 直接的な排出: ある活動や製品の製造・利用過程で発生する温室効果ガスの排出。例えば、車の運転、電力の使用、ガスや石油の燃焼など。
- 間接的な排出: 製品やサービスのライフサイクル全体にわたる温室効果ガスの排出。例えば、製品の製造、運送、包装、廃棄物処理など。
カーボンフットプリントを測定し、削減することは、気候変動の緩和に寄与する重要なステップです。個人、企業、政府は、より持続可能な活動やプラクティスを採用し、温室効果ガスの排出を削減することで、カーボンフットプリントを減少させることができます。また、カーボンフットプリントを削減する取り組みは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成や、気候変動に対処する国際的な取り組みの一環としても重要です。
ChatGPT(GPT-3.5)、9月27日
カーボンフットプリントは、ある製品、サービス、イベント、または活動が大気中に放出する温室効果ガス(主に二酸化炭素、メタン、および一酸化窒素)の総量を示す指標です。この指標は、人間の活動が気候変動に与える影響を評価するために使用され、特に環境への持続可能な影響を評価するために役立ちます。
カーボンフットプリントを測定する際、以下の主要な要素が考慮されます:
- 直接排出量: 直接排出量は、個人、家庭、企業、または国が直接放出する温室効果ガスの量を指します。これには、自動車の排気ガス、暖房、エネルギー生産、産業プロセスなどが含まれます。
- 間接排出量: 間接排出量は、間接的に発生する温室効果ガスの排出を指します。これは、商品の製造、輸送、廃棄物処理などに関連しています。たとえば、製品を購入することで、その製品の生産や輸送に関連する温室効果ガスが放出されることがあります。
- 吸収と削減: カーボンフットプリントの測定には、温室効果ガスを吸収または削減する活動も含まれます。たとえば、森林の木々は大気中の二酸化炭素を吸収し、持続可能なエネルギー源を使用することで温室効果ガスの排出を削減することができます。
カーボンフットプリントの測定は、気候変動に対する貢献を評価し、持続可能な行動の促進に役立ちます。個人や組織は、カーボンフットプリントを減少させるための具体的な措置を講じ、環境に優しい選択をすることで、気候変動への対策に貢献できます。
3週間で生成される内容が変化しています。この内容についてはいかがですか?
9月7日の回答はもっともらしそうですが私には何を言っているかよくわかりません。
9月27日までに学習はしているようですね。日本語のレベルはよくなっている。たとえば、9月7日の第1文には「個人、または組織が」という表現が含まれています。これらはサービスやイベントの主体なので意味的には前の部分と重複しています。9月27日の第1文には含まれていないですね。でも、やはり、私が欲しい回答ではないです。
ちなみに、疑問符をとって生成してみました。微妙に生成内容が違うのはアルゴリズムでしょうか?
「カーボンフットプリントとは」
ChatGPT(GPT-3.5)、9月27日
カーボンフットプリント(Carbon footprint)は、ある製品、サービス、イベント、個人、組織、国などが、二酸化炭素(CO2)を含む温室効果ガス(GHG)を大気に放出することによる環境への影響を測定するための指標です。具体的には、カーボンフットプリントは、ある活動やプロセスがどれくらいの量の温室効果ガスを排出するかを示すもので、通常、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化窒素(N2O)などのガスの排出量を含みます。
カーボンフットプリントの測定と評価は、気候変動や環境への影響を把握し、持続可能な行動や政策を推進するために重要です。個人、企業、国などが自身のカーボンフットプリントを理解し、削減策を講じることで、温暖化や気候変動の影響を軽減し、環境への負荷を減らすのに役立ちます。
カーボンフットプリントの測定には、エネルギーの使用、交通手段、生産プロセス、廃棄物処理など、さまざまな要因が考慮されます。測定方法は異なる場面で使用され、個別のアクティビティ、製品、サービス、イベントなどに適応されています。また、カーボンフットプリントの測定は、温暖化対策と環境への貢献を評価する手段として、企業の持続可能性報告書や政府の政策立案にも活用されています。
聞き方によって回答が変わるのもChatGPTらしいですね。砕けた口調で質問したときと丁寧な口調で質問したときで回答の雰囲気が変わるということもあるそうです。それにしても私が欲しい回答が返ってこない。
同様にGoogleの生成AIの結果です。
「カーボンフットプリントとは」
Google、9月7日時点
カーボンフットプリントとは、商品やサービスのライフサイクル全体で排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算した指標です。
カーボンフットプリントは、原材料の調達から生産、流通を経て最後に廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したものです。
カーボンフットプリントは、商品やサービスなどのパッケージに記載する制度です。
カーボンフットプリントは、広義には特定対象のCO2の排出量を表し、狭義には製品のライフサイクルを通したCO2の排出量を表します。
カーボンフットプリントは、個人や団体、企業などが生活・活動していく上で排出される二酸化炭素などの温室効果ガスの出所を調べて把握することです。
カーボンフットプリントは、別名カーボンラベリング(Carbon labeling)、二酸化炭素 (CO2) の可視化とも呼ばれます。
カーボンフットプリントのデメリットは、短期的に考えた際の運用コストに対する費用対策効果の低さが挙げられます。また、各商品などによっては、CO2排出量削減が高いために売れ行きが悪くなる商品もあるかもしれません。
Google、9月7日時点
カーボンフットプリントとは、商品やサービスのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したものです。カーボンフットプリントは、商品やサービスだけでなく、個人や企業の活動についても出すことができます。
カーボンフットプリントは、Carbon Footprint of Productsの略称で、CFPとも呼ばれます。カーボンフットプリントの目的は、CO2排出量の削減活動を促すことです。
カーボンフットプリントのデメリットは、短期的に考えた際の運用コストに対する費用対策効果の低さが挙げられます。また、各商品などによっては、CO2排出量削減が高いために売れ行きが悪くなる商品もあるかもしれません。
Googleでも3週間で生成される内容がだいぶ整理されたようです。こちらについてもどうでしょう?
9月7日の回答の第1文で私が知りたい情報が得られました。「CO2に換算した」というのが重要だと思います。9月27日の回答は冗長さがなくなっています。でも、そぎ落としすぎてる気もします。
ChatGPTは無料のGPT3.5を使用していますのでGoogleと単純に比較できませんが、この結果でどちらが優れている、あるいは思うところがありますか?
この結果だけで言えばGoogleに軍配を上げますが、ほかの話題でどうなるかは言い切ることはできません。過去にChatGPTを使用して納得のいく回答が得られたこともあります。カーボンフットプリントに関してはEUの制度化など新しい情報が必要ですから、GPT 3.5には不利な分野でしょうね。
Googleの生成AIでは、検索したワードに関連する質問が表示されます。少し前はレコメンド機能などと呼ばれましたが、これもAIでしょうね。いくつか生成してみました。
「カーボンフットプリントの欠点は?」
Google、9月7日時点
カーボンフットプリントには、次の欠点があります:
- CO2排出量の算定が複雑で手間のかかる作業
- カーボンフットプリントのみでは省エネや脱炭素につながらない
- 算出にかかる時間や手間に対して効果が低い
- リソースやノウハウが必要で、人材確保にコストがかかる
- 短期的に考えた際の運用コストに対する費用対策効果が低い
- 製品やサービスのライフサイクルが複雑
- CO2排出量のデータが不足している
- CO2排出量の計算方法が統一されていない
カーボンフットプリントの目的は、企業側と消費者側両方の行動変革を起こすことですが、特に消費者側の視点で効果が低いと考えられています。
カーボンフットプリントは、製品やサービスが原材料調達から廃棄・リサイクルまでにどれだけCO2を出しているかを計算します。たとえば、「あらびきウインナー(92g)」に「CO2:638g」と表示があった場合、この商品のライフサイクル全体を通して、638gの二酸化炭素が排出されることを示しています。
Google、9月27日
カーボンフットプリントには、次の欠点があります:
- CO2排出量の算定が複雑で手間のかかる作業
- カーボンフットプリントのみでは省エネや脱炭素につながらない
- 費用対効果が低い
- リソースやノウハウが必要で、人材確保にコストがかかる
- 製品やサービスのライフサイクルが複雑
- CO2排出量のデータが不足している
- CO2排出量の計算方法が統一されていない
- 日本ではカーボンフットプリントの認知度が低く、あまり効果が出ていない
カーボンフットプリントの目的は、企業側と消費者側両方の行動変革を起こすことですが、特に消費者側の視点で効果が低いと考えられています。
「カーボンフットプリントは消費者にどのようなメリットがありますか?」
Google、9月7日時点
カーボンフットプリントには、次のメリットがあります:
- 脱炭素経営に必要なCO2排出量を把握できる
- 気候変動への意識が高い消費者にアピールできる
- 自社の排出状況を把握することで、効果的・具体的な対策がしやすくなる
- 商品やサービスのCO2総排出量が「見える化」される
- カーボンプライシング(排出量に対する税金、排出権取引など)のコストカットにつながる
- 環境問題に取り組まない企業が淘汰されていくと考えられるため、競争力が高まる
- 商品の売上と業績の向上が期待できる
- 生産者と消費者のコミュニケーションにより、「気づき」を共有することで人類全体が、環境への取り組みを可能とするきっかけとなる
- 自社製品が環境に与える影響を具体的に知ることができる
- 環境規制などへの対応ができる
- 企業イメージ(ブランド)の向上につながる
- カーボンフットプリントは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を削減するための重要な指標です。
Google、9月27日
カーボンフットプリントは、個人や団体、企業が排出するCO2排出量を可視化したものです。カーボンフットプリントには、次のメリットがあります:
- 脱炭素経営に必要なCO2排出量の把握ができる
- 気候変動への意識が高い消費者にアピールできる
- どの商品がCO2排出量削減に効果的なのかがわかる
- 消費者が脱炭素・低炭素な商品を選べるようになる
- 消費者が製品やサービスを選択する際、炭素排出量が低く、より環境にやさしい選択を選ぶための道しるべとなる
カーボンフットプリントは、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みです。
「LCAとカーボンフットプリントの違いは何ですか?」
Google、9月7日時点
カーボンフットプリント(CFP)とライフサイクルアセスメント(LCA)は、どちらも製品やサービスの環境負荷を評価する手法です。LCAは、温室効果ガスの排出量だけでなく、資源枯渇や酸性化などの環境負荷も対象としています。一方、CFPは温室効果ガスに限定しています。
LCAは、商品やサービスの原材料調達から廃棄までのライフサイクル全体にわたる環境負荷を評価する手法です。CFPは、LCAの結果から算出される、商品やサービスのライフサイクル全体における二酸化炭素排出量のことです。
LCAは、ISO規格にて世界標準の基準が定められています。日本においても、サステナビリティレポートやCSRについて報告する際にこの基準が利用されています。
Google、9月27日
LCA(ライフサイクルアセスメント)は、製品やサービスのライフサイクルにおける環境負荷を測定する手法です。LCAでは、温室効果ガスの排出量だけでなく、資源枯渇や酸性化なども対象としています。
一方、CFP(カーボンフットプリント)は、LCA手法に基づいて、ライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を定量的に評価する方法です。CFPは、温室効果ガスの地球温暖化への影響のみが評価の対象となります。
つまり、LCAは環境への影響全てを対象としている一方、CFPは温室効果ガスに限定している点が異なります。
カーボンフットプリントの費用はいくらですか?
Google、9月7日時点
カーボンフットプリント(CFP)は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を削減するための重要な指標です。
CFPを算出するには、製品のライフサイクルを精査し、工程ごとのCO2排出量を算定し、すべての工程の排出量を合計します。
CFPの認証を取得する場合、費用は300万円からです。
CFPの料金は、一般社団法人産業環境管理協会が運営管理する「カーボンフットプリントコミュニケーションプログラム」に係る料金です。
CFPの料金は、次の13種に分類されています。
- CFP-PCR認定料
- CFP検証料
- CFP登録・公開料
CFPの欠点は、短期的に考えた際の運用コストに対する費用対策効果の低さが挙げられます。また、各商品などによっては、CO2排出量削減が高いために売れ行きが悪くなる商品もあるかもしれません。
Google、9月27日
カーボンフットプリントは、商品やサービスのライフサイクル全体における二酸化炭素排出量のことです。
CDPに回答した企業は、年間ベースで費用を支払う必要があります。標準的な費用は272,500円ですが、別の料金オプションもあります。
一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の維持審査(1回/1年)の費用は50万円~、更新審査(1回/3年)の費用は240万円~です。
SimaProの導入費用は、機能、商用/教育用、無期限/期限付き、データベースなどによって異なります。
カーボンフットプリントの費用は、製品単位か組織単位か、対象範囲、排出量の整理方法などによって異なります。
このように人工知能と呼ばれるだけ日々進化した生成内容になっていると言えますか?
これだけでは、進化というより整理しているといった感がします。たとえば、消費者にとってのメリットに関しては9月7日の回答では第3項目のように消費者にとってのメリットでないものがいくつも含まれていますが、9月27日の回答ではそれが削除されています。その期間に新しい内容が学習できれば進化するのかもしれませんが、新しい情報がなければ内容を整理するということでしょうか。それも進化だと言われればそうだと認めざるを得ませんが。意地の悪い言い方をすれば言うことがころころ変わるということです。
今後生成AIはどのように使われていくと思いますか?
私個人がすでにやっていることですが、まず翻訳に使っています。日本語から英語への翻訳にはすごく便利です。もちろん出来上がった英語のチェックは自分でやります。また、自分の書いた原稿を添削させることも時々やっています。自分にはない観点で添削してくれるので非常に助かるんです。素直にそれを受け入れるわけではないですが、新しい観点を示されることは自分にとってプラスになります。自分の知らないことを調べるときは情報ソースの1つでしかありません。一次情報にアクセスできるときはそれを確認することは必須です。生成AIはツールの一つに過ぎないことを常に意識するようにしています。時間がないとつい頼りたくなるんですけどね….生成AIは両刃の剣です。
生成AIにその活用法を聞けばいいんじゃないですか。(笑)
話はかわりますが、磯田道史氏の著書「江戸の備忘録」を読みました。
磯田氏のことはNHK BSで放送されている「英雄たちの選択」の司会者として以前から存じ上げており、たまたま著書を書店で見かけて衝動的に買ってしまったのです。
私が買ったのは2008年に単行本として発行されたものの文庫本でした。
史家というのは著者があとがきの中でご自身のことをそのように書かれている肩書きですが、このあとがきに書かれていたことに関して衝撃を受けました。次はそのあとがきの1段落の引用です。
だが、そのうち、ある一事を思うようになった。「牛のようなものに、自分はなりたい」ということである。牛は草を喰んで乳を出す。そんな魯迅の言葉がある。別段、難しい話ではない。人間は草を食べない。しかし、牛が草を食べると、甘美な乳が出て、人間も飲むことができる。同じことが、史家と世人の間にも、いえる。古文書は解し難い。古文書はそのままでは、なんのことやらわからないが、史家がこれを読んで嚙み砕き、牛が乳を出すが如くにすれば、世人はその味を甘受できる。良い草を喰まねば、良い乳は出ない。だから、史家は、良き草、すなわち、良き史料ををたずねて書物蔵に入り、牛が悠然と草を喰むが如く、ゆっくりと史料の頁をめくる。
このあとがきについて、どのような衝撃を受けましたか?
史家をテクニカルコミュニケーター、世人をユーザー、古文書を技術文書とすれば、自分にあてはまるではないかと思ったのです。テクニカルコミュニケーターにとって、草とは支給された技術情報です。
では、良き草とは何であろうか。支給された情報を補う情報(インタ―ネット上の技術論文や技術記事などの関連技術情報)がそれにあたると思います。
なるほど、対比法としてもそのとおりですね。
タイパと言い訳しながら生成AIを利用する今日この頃ですが、牛のようなものに自分はなれたのか…。反省の日々でもあります。
深いハナシです(笑)。ありがとうございました。