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[とくダネ!ナオキ 第16話]間違いだらけの外国語表記

今日は国内における外国語表記やカタカナ表記がテーマだとか?

駅構内や電車内の表示で、近年は中国語の簡体字や繁体字、ハングル文字などの表示があります。このうち、韓国のハングルは表音文字ですから日本語の名称を発音どおりに書くことができます。

例えば銀座はハングル文字で「긴자ginja」ですから、韓国人が東京に来て「긴자(ギンザ)に行くには?」と日本人に尋ねても銀座は聞き取れます。

一方、日本語の発音を中国語(簡体字・繁体字)で書くと、中国人は自分たちの発音で読んでしまいます。銀座を簡体字で書くと「银座Yínzuò」となりますが、中国語ではインゾーというような発音になります。つまり「银座(インゾー)はどこですか?」ということになります。これでは日本人や外国人に尋ねても、そういう固有名詞は存在しませんから、全く意味が通じないことになります。

なるほど、日本語と中国語では漢字の発音が当然異なりますね。ホスピタリティーの一環として固有名詞を中国語で表記しても、全く意味がないか、むしろ悪影響にもなりかねないということですね。

日本語の発音どおりでないと困ることがいっぱいあります。でも、自分たちの言語の記載を見れば、彼らは自分たちの発音で認識してしまいます。そうすると、日本人に訊くことができません。

文字の認識はできても、会話が成立しないということですね。

これは実際に経験したことですが、中国人と英語で会話をしていて、「Yínzuò(インゾー)に行きたい」と言われたのです。何度も聞き返しましたがこれは分からない。(笑)

英語が使える人でも、地名が中国語発音になってしまっているので、肝心の場所や固有名が分からないのです。つまり、同じ漢字文化圏であっても、同じ文字を使うということのデメリットが出てきます。ですから、そういう記載が必ずしも親切につながるとは限らないのです。

もしインゾーという発音が、たまたま他で存在する名称であった場合、そっちを案内してしまうことも考えられますね。

普通にあり得る話です。

ですから、日本語の発音どおりでないと不都合になる部分は、ローマ字表記を併記すべきです。中国語の文章の中にローマ字が入っていても何ら問題ありません。URLなどもアルファベットで記載されているのですから。

地名や駅名など、日本人に聞かなければならないシチュエーションが生じるような名称に関しては、ローマ字表記にすべきだというのが私の見解です。

それを全部漢字にしてしまっているのです。

渋谷のハチ公も「涩谷八公Sè gǔ bā gōng」では文字的に何となく分かっても、発音だと全く意味が通じませんね。

渋谷と書かれていたら彼らもちょっと考えると思いますが、「涩谷」と書かれていたら、「あっ、書いてくれている」と思って鵜呑みにしてしまいます。かえってよくありません。

親切心があだになっていますね。

また、日本人は中国人の名前を正しい発音で言わない人が多過ぎます。メディアも含めて。

人の名前の間違った発音を平気でしているわけです。習近平は习近平(Xíjìnpíng)、諸葛亮は诸葛亮(Zhūgéliàng)です。これはすごく失礼なことだと思います。

両国ともに漢字文化が前提にあり、歴史的な事象も踏んでいるのだと思いますが?

英語だと、Xi Jinpingと書いています。習近平と書いてあっても良いのですが、それをテレビで発音するときに、シュウキンペイと発音してはダメだと思います。それってすごく失礼なことだと思いませんか?

確かにそうですね。相手を尊重するという意味でも、正しく発音するというのは当然のことですよね。

地名や駅名の表記問題は既に述べました。人名に関しても民間レベルにおいていろいろと問題になっています。

日本と中国では、相互主義の観点から昭和47(1972)年の国交正常化以後もこの慣用が続いていますが、時代も変わり、国際的にもいろんなことが進んでいますから、そろそろ考え直した方が良いという話ですね。

これについては、QuoraというWebサイトでLyu Zhilunという方が次のようなコメントをされていましたのでご紹介します。

中国人として回答させて頂きます。

個人的な経験から言うと、中国語に日本語のなかにない音韻がたくさん存在しているので、中国人の名前をなるべく中国語の読みで呼ぶには無理があるからです。無理やり中国語の読みで呼ぶと、逆におかしくなります。

もちろん「王」(Wang v.s ワン)や「李」(Li v.s リ)「呉」(Wu v.s ウ)等のようなピンインと日本語の読みでほぼ一緒である漢字もあるが、「柳」(Liu v.s リィオ)「呂」(Lü v.s リィユ)「鄭」(Zheng v.s ジェン)のような中国語の読みをうまく表現できない漢字もあります。

おっしゃる通り、名前は大事なものです。大事だからこそ、正しく呼ばれたいです。中国語の読みで呼ぶのが無理なら、日本語の読みで全然構いません、むしろ日本語の読みのほうがありがたいです。

ちなみに、欧米諸国の言語にそれ以外の表記の仕方が存在しないので、欧米に生活している中国人の多くは英文の名前を持っています、利便上。

これは日本に詳しい中国人だから言えることですね。日常的に普段から間違った発音で言われるくらいなら、日本語読みで発音してもらったほうがいいという風に私は解釈しました。初対面の人に一回だけ使われる場合は違うんじゃないでしょうか。

欧米人が中国人の英語表記を読んでも正しい発音にはならないわけですが、それを聞いた中国人はもしかすると「自分の名前かな?」という見当が付けやすいのではないですか?
外国人が正しい発音をするとは誰も期待しません。ちなみに、私の名前はアメリカではネイオキと呼ばれたことが何度もあります。中国人の名前を日本読みで言われると、名前によっては見当も付けられないんじゃないでしょうか?

では、もう一つのテーマで、カタカナ表記に問題があるということでしたが?

外来語のカタカナ表記の中で、本来の意味とは違う使われ方をしている用語があります。
これは全般に言えることですが、マニュアルでも問題になっています。

誤ったカタカナ表記ということですか?

つまり元の言語の意味とは違う意味で日本語化されてしまったカタカナ用語を、本来の意味もそうだと思い込んで使っているケースです。

英語やイタリア語のようだけど、言語本来の意味とは全く違っているというカタカナ表記ですね。

昨今言われているやさしい日本語という範疇において、例えば英語のカタカナ表記を、元の英語の意味で捉えると違った意味合いになってしまう、という言葉がけっこう存在します。

それを日本に在住している日本語をある程度理解する外国人が、そのように記載されているマニュアルを読んで誤った捉え方をしてしまうという問題があります。

マニュアルで使われている用語として?

そうです。家電製品より地方自治体で問題になっています。安全のための誘導とか処置などの記載において、カタカナは使わないことになっています。

やさしい日本語でWeb検索すると、いろんな地方自治体がやさしい日本語表現を使うという方針の中で、カタカナはできるだけ使わないというのが出てきます。

もう一つ言うと、日本に在住する外国人に、何語で説明されるのが一番分かりやすいですか?という質問に対して、日本語と答える外国人が一番多いのです。

日本語の理解度にもよると思いますが、少し意外でした。

国内在住外国人の60%以上の人が、やさしい日本語で書いてあるのが一番分かりやすいと思っています。
なぜかというと、英語が使えるのは英米と一部の国だけです。それ以外の国の人は、日本で住む以上、日本語を勉強しています。

日本人の中には、英語で説明した方が分かりやすいと考えている人もいますが、そのようなことは決してありません。まして、カタカナになった英語を英語圏以外の人に見せても意味が通じないことがほとんどです。

なるほど、そういう理由から、妙なカタカナを使用せずにやさしい日本語で書かれている方が一番分かりやすい、ということですね。

例えば、ある製品でハンドルという名称の機構があったとします。日本人にはお馴染みで、よく使われる用語です。イメージしやすいのはやはり車のハンドルでしょう。正確にはSteering wheelです。でも、パワーステアリングはパワーハンドルとは言いませんね。(笑)

ハンドルは日本人には丸い機構というイメージがありますが、handleには握るもの、つまり柄とか取っ手という意味も含まれます。

ですから、丸いからと言ってむやみにハンドルという名前を付けると誤解を招く場合があります。日本語で取っ手と書いた方が在日外国人には分かりやすい場合があります。

テンション、などもそうですね。日本語の中ではテンションが高いとか口語的にもよく使われますが、英語には緊張という意味も含まれます。

それをマニュアルで「テンションを確認してください」と記載すると、自分の緊張度合いを確認するのかと捉えられても仕方がありません。

日本語には便利な仮名という文化があるのでより柔軟性を増しているのだと思いますが、和製英語や省略形も含めてそういう逆効果を生んでいるのですね。

カタカナと日本語を組み合わせた造語のような名称も多用されます。内蔵コンセント(Built-in outlet)とか、リモコンアプリ(Remote control application)などは平気で使われています。

特にアプリケーションの機能名によく見かけますが、例えば、リスケ機能(Reschedule function)とか、スマートと用語を組み合わせたスマート何トカ機能なんてのがあったりします。

機能名というのはその名称でおよそどのような機能なのか、ということがイメージできなければ意味がありません。

便利さというのは諸刃の剣で、便利と危険が背中合わせなのです。

元の言語の意味を誤解してそのまま使っている、という言葉が多く存在するのですね。

そのことが、日本に来ている外国人に対して使用するいろいろな言語表現において、問題が出ているということです。

コンシューマー製品のマニュアルでも問題になっています。日本に来ている外国人は日本語のマニュアルを読むわけですから。

文字を扱う我々としては、やさしい日本語も含めてカタカナの用語や名詞には気を使わないといけません。

ありがとうございました。

徳田直樹 プロフィール