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パセイジ通信

ひとり情シス奮闘記

パセイジはこうして在宅勤務を実現した⑨~何だかんだで在宅勤務継続中

みなさん、お久しぶりです。いかがお過ごしでしたか?

兼業情シスの哀しい宿命で、ちょっとでも本業が重たくなると記事更新がまるで進まなくなるのでいけません。そもそも中小企業の IT 担当とか情シスはテイのよい便利屋稼業みたいなもんですから何かとアレコレ抱えがちで……気が付けば前回の更新からだいぶ経ってしまいました。

2020 年春のコロナショックを契機にパセイジで全社導入となった在宅勤務のよもやま話を、このパセイジ通信の場を借りてお伝えしてきましたが、一時期の「不要不急の外出は控えて」の掛け声もすっかり過去の話となった感がありますので、在宅勤務ネタは今回が最後。今回は現状を踏まえて、しめくくりの話をしたいと思います。

当然ながら社員さんには大ウケ

パセイジとしても全社的に在宅勤務を実施するのは初の試みということもあり、実施後 2 か月ほど経過した頃に社員さんにアンケートを実施しました……考えてみれば今から 3 年以上前の話ですが、当時の在宅勤務熱がもっとも高まっていた時期のホットな感想ということで今も一見の価値があると勝手に決めつけています。

アンケート結果では、社員さんの反応はおおむね好意的な意見で占められました。当時の感染リスクへの不安を差っ引いても、ここまで「おうちで仕事できるようにする」というのが好評とは夢にも思いませんでした。

とりわけ年配の人ほど在宅勤務を進んでしたいと思わない傾向が高かったのですが、在宅勤務を望まぬ社員さんでも制度・施策自体を否定はしないところが興味深いところです。世間では「カイシャ出てこい」という何がナンでも出社至上主義の御仁がおられたみたいですが、パセイジにはそういう社員さんは幸い?にもいなかったようです。柔軟というか従順というか。

アンケートには作業効率や社員さんとのコミュニケーション、在宅勤務時の快適さについての設問もありました。いずれもパセイジの社員さんの実感としてはおおむね問題なしという結果だったようです。

アンケートの自由記述などを拝見すると、とにかく通勤時の満員電車に乗らなくてよかったことが大ウケの一大要因だったようで、みなさんどれだけ通勤に悩まされていたかをまざまざと思い知らされます。

そういえばコロナショック直後の頃は、毎朝の通勤電車がガラガラでした。もちろん毎朝確実に席に座れて快適です。通勤ラッシュの時間帯に、両手で数えて足りるくらいの数の乗客しかいない電車に乗って出社するなんて、あとにも先にもあれっきりの経験だったと思います。今ではすっかり満員電車に逆戻りしており、嗚呼あのときのあの頃のガラガラな電車が懐かしい……。

そもそもコロナ禍の少し前から通勤ラッシュ軽減策としてのテレワークを東京都が推進していたと記憶しており、コロナのおかげで加速・定着したものかと思いきや、結局世の中出社重視に逆戻りしてしまい、今となってはコロナショック前の満員電車が復活です。なんデスかみなさん、おうちに引っ込んでいてよ、そのほうが電車が空くからさー。

昨日も今日も明日も「ペーパーレス」レス

さて、在宅勤務とかテレワークを語るうえで欠かせないのが「紙とハンコ」議論。

紙 (の書類) とハンコのために出社という、ニュースネタにもなっていた社員さんの日常活動はご多分にもれず弊社でも起きていたのでした。それまで当たり前のように紙の書類が飛び交っていたのを、すぐにいきなり電子化などできるはずもありません。なので、制作実務を担当する社員さんたちは比較的容易に在宅勤務に移行できたのに対し、取引上発生する紙ベースの書類の手続きを手掛ける営業や総務経理の社員さんはその「職場でハンコ」のためだけに出社を余儀なくされ、制作の社員さんほど全面的に在宅勤務にできなかったというのが実情です。ああ不平等社会。

一般論としてペーパーレスの取り組みは、労力も時間もかかりますが、その負担を帳消しにしてなお余りあるほど効果絶大だと聞いています。とはいえ、しがないひとり情シスが面倒見れるのはしょせんインフラ周りだけで、そのインフラの上で行われる運用面の話になると充分な貢献がしづらいというのが実情です。「紙とハンコ文化」脱却を実現するためには、実務担当の現場処理に留まらず規程の変更やルールの整備などが必要になりますがいずれもしがない情シスの一存では決められず当事者との調整が発生します。そして実体として社内現場から管理間接部門、税理士先生、連結決算の大元の親会社と会計事務所、さまざまなステークホルダーの事情に基づくお作法の積み重ねが複雑に絡み合っており、そのすべてをスチャッと説得できるなど夢のまた夢。

かくしてペーパーレス推進を頑強に阻む要因はまったくクリアしないのでした。そして今日もこの時間にも、眼前で繰り広げられるハンコリレー……。

会議室が足りない

コロナショックを契機に世界中で Web 会議が以前に比べて確実に大量に発生し、打ち合わせも説明会も講習会も何もかも Web 越しに開催されるようになりました。

もともとパセイジの (正確には東京本社の) 応接室兼会議室はひとつだけで、使うときにいちいちセッティングしないといけないプロジェクターがあるのみという今の感覚だと石器時代のディスプレイ環境。奮発してデカいモニターと USB カメラマイクスピーカーを導入しました。これでこそ 21 世紀。

ところが、あまりにも会議が増えすぎて会議室が埋まりがちになり、とうていひとつでは足りなません。かといって、会議室を増やすとなるとカネも手間も時間も必要ですが、そこはしがない弱小零細中小企業のパセイジ、吹けば飛ぶような貧乏所帯ですから、フロア内に空きスペースがあったとしてもすぐに会議スペースに転用はできませんし、そもそも空きスペースは速攻で物置化するという別の問題があって、結局会議室は慢性的な不足状態。参加することに意義があるオリンピックみたいな (つまり発話はほぼせず聞いているだけの) 参加でよい Web 会議なら自席で参加してその場を凌いでいたのでした。

ちなみに、出社せず Web 会議に参加した場合、かなり高い確率と頻度で「参加しているフリして内職に励む」となるのは公然のヒミツです。

Web 会議は増えたけど

もれなくノート PC 支給済みの営業スタッフは最初から身軽で機動力があり、そのノート PC があるおかげで仕事も Web 会議もスムーズに可能になりました。他方、デスクトップ PC を使っている制作スタッフはそういうわけにはいかず、Web 会議に参加するために必要な機材の提供が追い付かないという事態になりました。Web 会議必須アイテムであるカメラもマイクもスピーカーもコロナショック勃発の頃は全国的に品薄になり、手に入っても価格が高騰していたのでそもそも入手困難でした。おかしいな、昔はワゴンセールで叩き売られてたのに。

前述のとおり、会議室にデカいモニターと USB カメラマイクスピーカーは導入しましたので、増える一方の Web 会議に見合った環境を会議室に用意することはできましたが、個人単位では充分な備品を用意できないまま、今も当時とさして変わらずです。

今では品薄感も解消され、当時よりも高性能高精細なガジェットが手に入るようになりましたが、そこはしがない弱小零細中小企業のパセイジ、爪に火をともすも同然の貧乏所帯 (← また言う)、まとまった備品を気前よく調達して社員さんに配布するのがなかなか難しく、結局今も制作スタッフの Web 会議用の備品は不足がちです。

この備品が不十分というのは何気にジワジワと日々の業務に響きます。通話用デバイスをカイシャがオフィシャルに社員さんに提供していないために、在宅勤務中の社員さんと出社中の社員さんが Web 会議するときに在宅勤務社員が発話できずチャット越しに発言するという事態が多発しました。

本来なら「一部ないし全員がその場にいなくても、全員がその場にいるのと同等の会議進行が可能」でないといけないはずですが、一部の人が発話はチャットのみというのが実は何気に参加者にとっては不便でして、リアル会議参加者としてはリモート参加者と話しづらいし、リモート参加者としてはチャット越しにあくせく発言しても聞き届けられないという、とても「全員がその場にいるのと同等」とは呼べないのでした。ヘタすりゃ欠席裁判もいいところです。

届かぬ想いのWeb会議

そして実を申せば

そしてサイゴにワタシ個人の話。

前のほうで「毎朝の通勤電車がガラガラ」なんて書いており、「なんで知ってるんだ、ユーは在宅してないのか?」とか思われていそうですが、実を申せばワタシこれまで一度も在宅勤務はしていません。いわゆるテレワークとかリモートワークはそれこそだいぶ前からいっぱい経験済みですが、「出勤から退勤まで出社する代わりにおうちで仕事する」という意味での在宅勤務は、昔から今日にいたるまでいっぺんもしておりません。

理由はイロイロありますが、筆頭の理由は「自分が在宅勤務するのではなく、他のみなさんに在宅勤務してもらうための世話役だから」でしょうか。しかも、代わりがいません。ネットワークとかシステム管理者の立場上どうしても世話役となりますし、そこはもう「ひとり情シス」ですから……いえ、陰に日なたに助けてくれる人もおりますが、ちょっとしたトラブルの対応になると、慣れている自分が対応するのがいちばん確実でして……って、こういうのがいちばんダメなパターンか?

ですが、程度の差こそあれ在宅勤務を実施している企業様でも、社員全員が同時に在宅勤務というのはまずあり得ず、必ず誰かが出社しているという企業様が圧倒的多数だったと思います。「カイシャ」というのは出社することを大前提に職場と規程と制度を構築していますから自然とそうなります。誰かが出社して職場での対応を負担することで他の人たちの在宅勤務が可能になっているというのが今の日本の在宅勤務の実態だと思っています。

ワタシ自身、家で仕事をしたいという発想は希薄なのですよね。だいぶ前から社内の VPN を維持していましたが、自分がお客様のところに出向いてお打ち合わせというときに、出先から社内ネットワークにガンガン接続して仕事をしており、場所に縛られず柔軟に仕事ができるというところに魅力を感じてインフラ整備を続けていました。モチベーションの源が「家で仕事したい」ではなく「限定された職場という制約を取り払って仕事を効率よく進めたい」なのですよ。だからワタシ、在宅勤務を肯定も否定もしておらず、より効率がよく柔軟な仕事の進めかたを可能にするテレワークやリモートワークは積極的に推し進めたいという考えです。

アンケートの回答には「子どもの通学の送り迎えの調整がしやすくなった」という声が多々ありました。在宅勤務がなかった頃は、子どもの通学の事情に合わせて時短勤務していた人が多かったようですが、コレってその社員さんが提供する労働時間が短くなっているぶん企業の生産能力も低くなっていると思うのですよね。在宅勤務によって時間的制約がなくなり、会社の標準の勤務時間をフルに使って労働力を提供してもらったほうが企業にとっての利益になるではないか、と。もし「時短勤務の分だけ社員さんに払う給料が減っておトク」と考えるなら、それはマチガイであって実は損をしているのは企業側ではないか、と思うわけです。

あと、今回の在宅勤務にあたり、希望者には最初に申請書を書いてもらったのですが、自分が在宅勤務するとなるとその申請書から始めないといけません。何だか面倒というか、今さらというか……こうして今日も毎日出社してせっせと世話役に従事しているのでした。

ここまでお読みいただきありがとうございました。今回はここまでにしとうございます。次回からは在宅勤務とかテレワークとかそういうのとは別の話題を紹介することをお約束します。もっと早いペースで記事公開しないとなあ……。