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パセイジはこうして在宅勤務を実現した⑧~在宅勤務のFAQ

システム担当とかネットワーク管理をしていると、それこそテクニカルサポートよろしく、ネットワークやシステムに関する問い合わせがチョイチョイ不定期に発生します。在宅勤務向けのインフラは複数のネットワークの多層的な構造になっているようなところがあり、在宅勤務実施以降はいろいろ技術的な問い合わせや相談を受けました。

幸いにもこれまで大きな障害には遭わずに済みましたし、問い合わせをいただいた内容も比較的一定していました。今回はその「よくある質問・問い合わせ」すなわち FAQ を紹介したいと思います。

〇〇につながらない

問い合わせでダントツに多いのはこの「〇〇につながらない」です。「〇〇」のところは「VPN」だったり「リモートデスクトップ」、もっとふわっと「ネットワーク」だったりしますが、表現としてはシンプルに「つながりません」です。いやもう、みなさんホントに「つながりません」としかおっしゃらない。

在宅勤務時のリモートワーク環境は、複数の「接続」の積み重ねで実現されていますので、「つながらない」という症状はその接続のいずれかが確立されていない結果です。図にすると下記のようになるでしょうか。

「〇〇につながらない」にもいろいろありまして

大きく 3 つの「接続」があるわけで、そのどこで接続ができなかったかで対処が変わります。まずは、問い合わせた人の目の前の PC でどのような表示とかメッセージが出ているかを聞き出して、どこで躓いているかを探ります。実際のところ、原因は相場が決まっています。

パスワード期限切れ

職場の PC にリモートアクセスするにあたり、最低 2 回はパスワードを入力します。ひとつは AD アカウントのパスワードで、もうひとつは VPN アカウントです。

現在のルーターによる VPN は AD 連携なのでユーザーが記憶しなければならないパスワードはひとつだけですが、AD アカウントのパスワードは Active Directory サーバーでの制御によって一定期間ごとに更新が必要となります。この AD アカウントのパスワードって、在宅勤務中に期限が切れたりしようもんなら、パスワードの更新がおそろしく難儀なのですよね。結局ネットワーク管理者の自分が AD サーバーを操作してその社員さんのアカウントのパスワードをリセットして知らせることになります。一時的なパスワードを設定し、後でご自身で任意のパスワードに変更していただくわけですが、こういうのは結局次の出社日に職場 PC を直接操作してもらうのがもっとも確実でした。

パスワードの期限については、前回いつ更新したかをいちいち覚えているはずもなく、いつのまにか期限が来るというケースが多いと思います。コマンドプロンプトでコマンド「net user [アカウント名] /domain」を実行すれば期限はわかるのですが、今どき DOS プロンプトにコマンド打ち込むなんて手法になじみがある人は少ないだろうなぁ……。

職場の PC の電源が切れた

切れる要因もいろいろで、何かの拍子に勝手に電源が切れることもあれば、Windows Update がひとりでに発動してそのまま再起動したあと更新の途中で息を吹き返さないこともあるし、ユーザーさんが間違ってシャットダウンすることもあります。

こういうときはワタシ宛てにチャットのダイレクトメールが届き、いそいそとその人の席に行って PC の電源を入れるというわけ。今となっては周囲の同僚に頼むケースも多いようですが、コロナショックの影響で在宅勤務を始めた頃、しかもその利用者も大勢いた頃は、ワタシめがけてまっすぐ「電源入れて」というチャットが飛来しまして……。

あるとき気づいたのですが、これっていわば「在宅勤務で職場の PC を遠隔操作している人が、今度はネットワーク管理者を遠隔操作」しているようなもんだな、と。いやしくも世話役ですので、問い合わせにはフルスロットルで良心的な対応をココロがけつつも、ときおりそのときのコンディションで気が緩み、つい荒くれた対応をしでかすことがあったことをココに白状したいと思います。ごめんね。

マシンの電源は離れていては入れられない

ところで、在宅勤務期間中に入居中のビルの定期点検による停電というイベントがあり、このときは平常時とは逆に「リモート操作で職場の PC の電源を落としてもらう」必要に迫られました。停電については例年事前にアナウンスしていましたが、その年は直前の終了操作がちょっと異なったわけです。もうひとつの例年との大きな違いは、週末の停電後、翌週月曜日も在宅勤務する場合、遠隔でシャットダウンした PC は自分から起動はしないので、誰かに電源を入れてもらわないといけません。

ワタシ、サーバーの起動再開に加えて各種雑用をさばくために停電の翌日はウキウキ休日出勤ですので、このときも翌週月曜に在宅勤務する予定の人のPCの電源を入れて回ったのでした。こういうシス管みたいな役回りをずっとしているせいですかね、翌営業日から業務を遂行するという観点では休日出勤は「絶好のチャーンス!」と考える習性が身に沁みついているようです。

PC がスリープモードになっていた

PCは、一定時間経過後にスリープになるように設定されていることがあります。使わない状態でしばらく経つとひとりでにそのPCが睡眠するわけですね。電気の節約にはもってこいの地球にやさしい仕組みですが、在宅勤務でこの設定のままだと、眠りについた職場の PC を自宅から遠隔操作で起こすことができない……となります。

Wake On LAN 機能を適切に設定することで、VPN越しに寝た子を起こすことは可能です。本来はこのほうが電気の無駄使いにはならないので理想的ですが、このWake On LAN がとにかくやっかいというかじゃじゃ馬というか、PC 本体によって対応の度合いが違うみたいなのですよね。OS だけでの設定では済まず BIOS/UEFI レベルの設定が必要ですし (フツーの民間人にとってはチンプンカンプンなシロモノ)、よしんば頑張って設定しても動くかどうかは試してみないと確信できません。Wake On LAN 機能を使って寝た子を起こすツールは世の中に複数出回っていますが、ツールによって起こせたり起こせなかったりします。テスト動作まで面倒みないととても手放しで使わせられないため、社員さんには控えめな案内にしました。結局社内中の PC のほぼすべてが 24 時間稼働しているという、地球にやさしくないにもほどがある状況です。もったいないと言えばそれまでですが、社員さんの業務が止まる可能性を考えると、問題なく動くのがいちばんだよなと勝手な釈明をアタマに思い浮かべています。

ちなみにワタシの場合は、机上の PC は Wake On LAN 設定済みで、毎朝カイシャに出社するとスマホのWake On LANアプリから「寝た子を起こす」操作をしています。入り口近辺でスマホを取り出し、自席に着くまでの間に寝た子を起こすとかしているわけです。だから何と言われればそれまでですが……。

ネットワークが遅い

通信の遅さについては頻繁に相談されましたし、とにかく遅くて困る!という声をたっぷり頂戴しましたが、こればかりはどうしようもありませんという極めて残念な回答をしました。

通信の遅さは在宅勤務中の社員さんのご自宅の通信回線の影響によるもので、職場のネットワーク起因とは考えにくいのですよね。ルーターはメーカー公式見解によれば200ユーザーがよってたかっても耐えられると言われますし、回線の NURO biz はそもそも高速だし法人用途ですのでベストエフォートとはいえそうそう激遅にはなりません。となるとやはりご自宅の通信の問題と思われ、世の在宅勤務流行りで帯域が狭くなっているのではないですか、と。みなさんおうちにこもりきりでしたし、ちょうど通信回線を共有しているお隣りさんがアマ〇ラとかネ〇フリでも見始めたのでしょう、それもフルフルの HD 画質で……と。あるいは大勢のお知り合いとネット飲み会でもして帯域占有したとか? そうやって多くの人がフレッツ光回線に殺到していますから、存外にメタルの ADSL が帯域ガラ空き最強だったかもしれません。

自分も夜中に自宅からリモートアクセスしたときに、あまりの遅さに辟易したことがありましたっけ。遅いという問い合わせはまさにこういう状況で、これでは仕事にならんだろうなと思いつつ、どうしようもないものはどうしようもないので結局は「隣でネト〇リかア〇プラかディ〇ニープラス」説で返答してそれっきり。あれ、ワタシ、あまり親切ではないですね。

あとは、夕方の退勤時刻になる頃は決まって通信が遅くなったり VPN がひとりでに切断されがちでした (人呼んでスロータイム)。退勤時に帯域占有するような操作や処理が発生するというのも妙な話ですが、待っていただくしかありません。国や政府、自治体には、高速で安定した回線の導入と普及に努めてほしいかなぁ。

パセイジの在宅勤務も気がつけば 1 年以上続いていますが、その間に通信回線を見直した社員さんが何名かおられます。この機会に ADSL に見切りをつけて NURO 光への鞍替えを目論むも果たせずそれでもフレッツ光に移行した人、入居先の建物の事情でスッタモンダしたけど晴れて NURO 光環境を手にした人……この 1 年でフレッツなり NURO なり光通信回線を敷いた人は多かったに違いありません。

まとめ

さて、そんなこんなで、在宅勤務中によくいただいた問い合わせをサラッと紹介しました。世の中の他のみなさまがたはもっと快適に在宅勤務をエンジョイ?しているのでしょうか、はたまたもっと苦労しておられるとか? ともあれ、今回はここまでにしとうございます。