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パセイジ通信

とくダネ!ナオキ
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[とくダネ!ナオキ 第77話]これで目的地に着けますか?

今日は、私が目的地に簡単にたどり着けなかった案内表示の話です。京王線新宿駅の改札近くにある案内表示がこれです。

京王線新宿駅の改札近くにある案内表示

新宿の観光案内所に行きたかったのですか?

目的地というより、この案内を見て違和感というか、疑問に思ってしまったのです。

気になったら見ずにはいられない、というコトですね(笑)。これの何が疑問に思ったのですか?

まず気になったのが円の中に?を入れた図記号です。この図記号が案内表示に描かれているのを見たのは初めてです。
これを見る人に何を伝えたいのかが私には想像できませんでした。一般的にはこの図記号は疑問を表します。

わからないことがあったら聞くことができる場所という意味でしょうか?

例によってChatGPTに聞きました。回答には「円の中に「?」が描かれていることで、特に情報や説明を求める際のアイコンや、ヘルプセクションを指す標識として見かけることがあります。」という部分がありました。

そうですね。私も「?」はヘルプアイコンというイメージです。

そういう意味で、この標識を作った人が、この表示を見る人に説明を求めているとは思えません。これを作った人はどのような意図でこの図記号を使ったのでしょうか。

図記号の次に続くのは「観光案内所Tourist Information」の文字です。「Central Honshu Information Plaza」というのは案内所の名称だと思われます。

私の経験では観光案内書を表す図記号は円の中に「i」を入れたものです。ちなみに東京都の観光案内Webサイトには次のように表示されています。

東京都の観光案内Webサイトの図記号

ChatGPTはこの図記号について「一般的に「情報(Information)」を意味します。円の中に小文字の「i」が描かれており、案内所、ヘルプデスク、情報提供のためのセクションやリソースを示す際に使われることが多いです。」と言っています。

やはりインフォメーションだと「i」ですよね。

世界的にも案内所にはこの図記号が使われることが多く、私も海外でこのような図記号に何度か助けられました。

その国の言語表示が読めなくても図記号から想像できるのです。案内所では英語が通じる場合が多いので何とかなりました。例えばフランスの地方都市で見かけた観光案内所の看板が次です。

フランスの地方都市で見かけた観光案内所の看板

iが擬人化されていますが、すぐに観光案内所だと気が付きました。

それは海外に慣れているからだと思いますよ。(笑)

シャンパーニュ地方のランスに行ったときのことです。シャンパンのカーブ(Cave)を見たいと思い、カウンターにいた女性に「予約なしで見学可能な、徒歩で行けるカーブがあるか」と英語で聞いたところ、「一つあります」と言って、私でも名前を知っているテタンジェ(Taittinger)のカーブを教えてくれたのです。

テタンジェ(Taittinger)のカーブ
テタンジェ(Taittinger)のシャンパン

ラッキーだと思いました。iのマークに助けられたのです。

私はカーブ(貯蔵所)という言葉も知りませんでした。さぞ試飲もされたんでしょうね。

それは想像に任せます。

さて、新宿での話です。とりあえず、まっすぐ進み、次に左に曲がって進めの矢印 左に曲がって進めの矢印 に従って歩いてみました。最初に見つかった案内表示は次のものでした。

新宿の案内表示

観光案内所に関する情報はないので、役には立ちません。そのまま地下道を進んでも期待した情報はなかなか見つかりませんでした。なんと100mほど歩いてやっと次の看板が天井からぶら下がっているのが見つかりました。

天井からぶら下がった観光案内所の表示

どうやらここで間違いないようです。この看板には違和感のない円に「i」が使われています。では、最初の表示に描かれていた円に「?」は何だったのでしょうか。観光案内所を探したい外国の方々に対しては不親切だと思います。

確かに意図は不明ですね。

ここは中部地方の物産販売店を兼ねており、案内所は店の奥まった目立たない位置にありました。私が店に入ってすぐに立ち止まり、案内所を探していると、女性が声をかけてきました。

「このカレーは地元の食材を使った自然派のカレーで云々」。私、「???」

私はレトルトカレーのコーナーの前に立っていたのです。店の正面の看板と暖簾は次の通りです。図記号はピンクの円に白抜きイタリックの「i」でした。

観光案内所

あとで気が付いたのですが、入り口の右側の目立たない位置に次の表示がありました。

観光案内所の看板

この表示を見つけたとき、ちょっと混乱してしまいました。ここに来るまで、Central Honshu Information Plazaの前に付いていた図記号は順に次の4種類でした。

Central Honshu Information Plazaの図記号
Central Honshu Information Plazaの図記号
Central Honshu Information Plazaの図記号
Central Honshu Information Plazaの図記号

バリエーションが多くてイイですね! とはならないですね。(笑)

同じ目的地を示す案内表示が100m圏内に4か所あり、使われている図記号はすべて異なるのです。
一貫性のなさに驚きます。テクニカルコミュニケーターとしては許容できかねます。

上記図記号のうち右の3種は同じ構造です。円の中に小文字の「i」が描かれています。しかし色やフォントが異なります。私にはこれらが同じ情報マークだと考えることができます。しかし、世の中にはデザインの違いに敏感すぎて、これらがすべて同じ情報マークだと認識できない人がいるそうです。そういう人に認識してもらうためにも同じ場所へ導くための情報マークは統一してほしいと思います。

このような国際規格はないのですか?

以前からたびたび話題にしてきましたが、このようなピクトグラムは特に決まりがないのです。

ここでいたずら心がわきました。ChatGPTに観光案内所に最適な情報マークを考えてもらったのです。それが次です。

ChatGPTによる観光案内所に最適な情報マーク

思わず吹き出してしまいました。使い物にならないと思います。下部のわけのわからない文字を、ChatGPTは誇らしげに次のように説明しました。

日本語「案内」、中国語「信息」、韓国語「정보」が正確に表記されています。視認性を高めつつ、シンプルで使いやすいデザインに仕上げています。

なに眠たいこというてんねん、ていう感じです。(笑)

ChatGPTは、この説明のようなテキストデータとしての文字を出力することは正確にできますが、絵として文字を描くことは上に示したとおり苦手なのです。INFORMATIONすら正しく描けません。第60話で話題にした「現時点のAIは絵の意味を理解できない」ということの裏返しだと思います。

それにしても「Central Honshu」というのはどこのことだろう?と思っていたのですが、それが中部地方だということがこの写真からわかりました。ヘンではないですか?
これを日本語にすると、中央本州ということになると思いますが、なら北本州や南本州、東本州という概念が日本語にないと、関東地方や関西地方はどうするのでしょうね?

一部のサイトでは本州を3つに分けてWestern Honshu, Central Honshu, Eastern Honshuと言っているようです。西日本、中部、東日本というつもりでしょうね。

中部を東海とすると、JRっぽい英語なのかも知れません。(笑)

徳田直樹 プロフィール