[とくダネ!ナオキ 第51話]使いにくい!
今回はテンキーをクローズアップするとはまたマニアックなテーマですね。
数字を入力するテンキーの配列と言えば、一般的には電話配列と電卓配列です。
パソコンのキーボードも含めて普段無意識に使っていますが、あらためて見ると数字の並びが違いますね。
そうですね。長年使っているのでこの2つの違いに戸惑うことはありません。どちらも自然に入力することができます。ところが、とんでもない配列のテンキーが町中に頻繁にあることに気が付きました。次の配列です。
これは見たことがありませんね。
電話配列と電卓配列、どちらも左から右に数字は大きくなっていますが、この配列は右から左に数字が大きくなっています。非常に入力しにくいですね。
5の次に6にタッチしようとするときに指は自然に右へ動きますが、そこに6はなく4がある。イラッとすることこの上ないですね。
タッチパネルということですがどこのテンキーですか?
これはSMBCのATMの暗証番号入力時のテンキー配列です。テンキー配列がランダムに選択されるシステムで、ときには次のような配列も表示されます。
あ、ATMですか? 私は使ったことはありませんが、確かに配列を変えるというボタンがありましたね。
いっそここまで電卓と違うと、配列を意識して操作するのではなく個々のキーを見てしまうので、上の配列ほどイライラしません。このようにランダムな配列を表示するのは、SMBCが設計者にそれを望んだのかATMの製造メーカーが自主的にそうしたのかはわかりませんが、理由はセキュリティーでしょうね。
後ろから指の動きを見て暗証番号を読み取られるのを防ぐためなどの理由です。しかし、そのような高度な読み取り技術を持ったあやしい人がATMの後ろからのぞき込む確率が高いとはとても思えません。さらに、私がいつも使うATMでは他人の操作中に後ろに並ぶことはしないという暗黙のルールをユーザーが自主的に守っています。多くのATMボックスではドアの外に列を作りますね。昨今セキュリティーに対するユーザーの意識は高くなっているのです。
それにしてもATMの前でスマホを操作していたら昨今のアレに間違われますよ。(笑)
実はこの話には次のようなオチがあります。ランダムのキー配列が表示されるときの画面全体を見てください。
この記事を書くにあたって画面を撮影しているときに気が付きましたが、「電卓並びにかえる」というボタンが配置されています。しかし、数え切れないくらい操作したのに、長年このボタンに私は気が付かなかったのです。UI設計者は私のようなユーザーの行動が予測できなかったわけですね。
ATMが普及し始めたのは70年代で、タッチパネルは80年代後半からのようですが、画面自体はあまり変わっていないような気がしますね。
このボタンにタッチするとご丁寧に「周りに怪しい人間がいないか確認するように」というようなメッセージが出て、もう一度、確認操作を求めてきます。それなら最初からそのメッセージを表示して電卓配列で表示するほうがよほど親切です。
私のような人がイライラすることもありません。さらに、暗証番号の入力を複数回間違えると口座がロックされると記憶していますが、誤入力を誘導するようなUIはいかがなものか。
サービスエクセレンスの考え方が全く導入されていないシステムだと言いたいのです。
顔認証機能を搭載した次世代ATMも出てきているようですが、街中のATMはあまり変わっていませんね。
ちなみにみずほ銀行も次の例のようにランダム配列表示でした。
MUFGは最初から電卓配列表示のみでした。銀行の良しあしの判断はこれだけでできるものではないことは皆さんご承知のとおりです。今回はランダムなテンキー配列表示は非常に使いにくいと言いたかっただけです。
日本のATM自体は技術の結集だと思いますが、電子マネーの普及とアナログの観念世界。ここでも垣間見えますね。