[とくダネ!ナオキ 第104話]LLMの限界?
LLM(大規模言語モデル)とは、Large Language Modelの略で、膨大なテキストデータを学習し、人間のように自然な文章を理解・生成するAI(人工知能)の一種です。今までに何度も記事で取り上げたChatGPTがその代表です。
LLM AIの限界を感じることを最近経験しました。次の2つの車内広告は同じ車両の隣り合ったドアのそばにあったポスターです。
真正面から写真を撮れなかったのでツールを使って加工したことをお断りしておきます。
さてここでクイズです。2つのポスターにはAIには判断しにくい共通点があります。読者の皆さんはわかりますか?AIの分析を読む前に考えてみてください。
例によってChatGPTに質問しました。
私:
2つのキャッチコピーの作り方の共通点は?
ChatGPT:
2つのキャッチコピー(
- 「インターネットに、愛と情熱を。」
- 「なんでも技術で変えていく」
)の作り方(構造・発想)の共通点を整理して説明します。
①「抽象度の高い言葉」で企業の“姿勢”を言い切る
- インターネット → 愛と情熱
- 技術 → 変革
という価値観レベルの言葉で構成されています。
👉 共通点
「何を売るか」ではなく「何を信じているか」を語るコピー
②「主語を曖昧にして“普遍化”する」
どちらも主語が明示されていません。
- (私たちは)インターネットに、愛と情熱を。
- (私たちは)なんでも技術で変えていく。
主語を消すことで、
- 企業の宣言
- 社会全体へのメッセージ
- 読み手の自己投影
のどれにも読める構造になります。
👉 共通点
“誰の言葉か”を限定しない設計
③「名詞 × 名詞」「副詞 × 動詞」のシンプルな文型
どちらも極端に単純な構文です。
構文比較
コピー 文型 インターネットに、愛と情熱を。 名詞+名詞 なんでも技術で変えていく 副詞+名詞+動詞 👉 共通点
短く、リズムのある口語的日本語
④「強い一般語」を使う(専門語ゼロ)
使われている語はすべて日常語です。
- 愛
- 情熱
- 技術
- 変える
専門用語を使わないことで、
- 理解コストが低い
- 感情に刺さる
- 記憶に残る
👉 共通点
“誰でもわかる言葉”で“壮大な意味”を言う
⑤「動作や行為を暗示する“未来志向”」
どちらも現在の説明ではなく、
- これからやること
- 進んでいく方向
を示しています。
👉 共通点
ビジョン提示型コピー
⑥「“何をするか”より“どうありたいか”」
コピーの本質は「機能」ではなく「人格」です。
- 愛と情熱を持つ企業
- 変革を起こす企業
👉 共通点
ブランド人格(Brand Personality)の提示
まとめ(コピー設計の共通原則)
2つのキャッチコピーは、同じ設計思想で作られています。
✅ 共通する作り方の原則
- 抽象語で語る
- 主語を省略する
- 短い構文にする
- 一般語だけを使う
- 行為や未来を示す
- 企業の“姿勢”を言い切る
つまり一言でいうと
👉 「企業の“思想”を一行に圧縮した宣言型コピー」
素晴らしい!
もっともらしく分析しています。優等生の回答じゃないですか。でも、私が共通点と思ったことは上の回答とは違います。これらのキャッチコピーを考えた人たちはちょっと遊んでいると思います。
インターネットに、愛と情熱を。
なぜ文字の一部を赤にしたのか。私は気が付きました。イのローマ字表記はI、愛の発音は「あい」で、同じ発音のアルファベットはI、情のローマ字表記の最初の文字はJです。3つをつなげるとIIJとなります。
もうひとつのキャッチコピーは
なんでも
技術で
変えていく
です。ローマ字表記にすれば
Nandemo
Gijutsude
Kaeteiku
行頭の文字をつなげばNGKとなります。
どちらもキャッチコピーの中に工夫して社名を含めているのです。このことはこれらのポスターの企画者の遊び心の現れだと私は思います。でもAIにはこのような遊び心を理解することはできないでしょう。これがAIの限界だと思います。問題はハルシネーションだけではないのです。
AIとはほどほどに付き合っていきましょう。
次の日、次のポスターが同じ車内に掲載されていることに気付いてしまいました。

これはわかりやすい。最初にこれを見つけていたらこの記事を書こうという発想はなかったかもしれません。