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[とくダネ!ナオキ 第9話]マニュアル評価 Vol.2

前回からの引き続きですが、マニュアル評価で提供する成果物とは、どのようなものになるのですか?

一般的には評価報告書を提出するということになります。
その報告書に代わるものとしては、規格にコンテンツとして定められた項目(コンテンツ評価)があります。その項目が正しく存在するかどうかを、項目ごとにチェックしていくような報告書を提出する場合もあります。規格の要求を満たしているかどうか、という評価ですね。

あとは、ほとんどのケースで報告会を開催します。

報告書をベースに、口頭で説明するということですね。

そこで具体的にどのようにすれば改善できるか、という手段や手法を具体的に説明します。

一番のメインは報告会と質疑応答と言っても過言ではありません。もちろん指摘に対して質問などが寄せられるわけですが、報告書や書類、メールだけではうまくいかないですし、うまく伝えられない場合があります。オンラインでもいいので、やはりリアルタイムにすぐに答えられることが重要になります。

その場で、「どうしたらいいですか?」「じゃこうしたらいいでしょうね」というように評価というのはコンサルに近いです。改善提案のようなものもその中に入ってきます。

もちろん報告書にも書きますが、文章では伝わりにくいことがあります。

マニュアル評価から実際に制作を引き受けるというケースもありますか?

マニュアル評価から、その改善提案をもとにわかりやすいマニュアルを作るということはあります。

話は少し戻りますが、電子マニュアルの場合の評価はどのように行うのですか?

マニュアルの本質部分は紙と同じですが、一般的な電子マニュアルを例に挙げると、トピックやリンクなどの再構成が主な評価になります。入口からトピックのツリー構造を分析して、どのようにつなぎ直したらわかりやすくなるのか、どのように再構成したら良くなるかなどを評価していきます。

トピックのどれとどれが関連しているのか、あるいは関連していないのかなどを分析して、ここでは不適切だから適正な箇所に配置する、などと再構成していくわけです。

電子マニュアルには、ハイパーリンクのように冊子マニュアルのスキームにはない要素がだいぶありますので、紙マニュアルとは評価する内容や項目が違うということですね。

冒頭にも言いましたが、紙に関して言えばIEC82079-1が評価としては使いやすいです。電子マニュアルに関して言うとそれだけでは足りません。先ほども言いましたように、ツリー構造やリンクがどうこうということまでは規格には載っていません。どんなコンテンツを載せないといけないかとか、ドキュメントとしてどうあるべきかなどは規格に記載されていますが、製品によってサイトの作り方も異なってきます。そんな細かなところまで規格で定義することはできません。

紙マニュアルと電子マニュアルの両方を評価することもあるのですね?

もちろんあります。その連携も評価の対象となります。

電子コンテンツの出現で、マニュアル評価はさらに複雑化したのではないですか?

何を紙で提供して、どんな情報を電子で提供すれば好ましいのか。そういった部分まで立ち入りますので、より複雑化しました。

マニュアル評価とは、そうした提案的な要素が多くを占めるのですか?

必然的に提案的な部分が多くなります。ここに問題点があります、その原因はこうです、それを適正にするためにはこうした方が良いです、ということになります。

マニュアル評価をきっかけに、自社のマニュアルを一度見直してみようということですね?

そういうことです。そのためには、既存のマニュアルの評価から始まり、それに対してこういうことをしましょうという提案をして、新しいマニュアルを作る。そういう流れになります。

既存のマニュアルを自社内で評価するのはちょっと無理があります。国際規格とも照らし合わせなければいけませんし、やはりまずは第三者の視点で専門家に評価してもらう必要があります。

そして、既存マニュアルの評価と同時に、コールセンターやカスタマーセンターに蓄えられているお客様からの声も分析します。

なるほど、ユーザーからカスタマーセンターへの問い合わせはほとんど製品の使用に関することですね。

実はそれらお客様の声がほとんど役に立てられていません。それらクレーム対応の情報は製品作りには活かしていても、マニュアルに活かすことは意外にしていないのです。

それはどうしてですか?

一般論ですが、大半のメーカーはマニュアル部門とカスタマーサービス部門が結び付いていません。

設計開発部門に問題点やそれらの情報がナレッジとして共有されますが、マニュアル部門にまで降りてこないケースが多いのです。しかし、マニュアルを適正にすれば、実は解決することもあります。

そのいい例が、昨年(2020年)TC協会のマニュアルオブザイヤーに輝いた日置電機株式会社では、それらの部門が密接に結び付いています。つまり、製品を設計開発する部門とマニュアルを作る部門、お客様の声を聞くカスタマーサービス部門が集まって、うまく連携できるようになっています。それも評価の対象となっているでしょうし、当然賞を獲るくらいの良質なマニュアルになっています。

TC協会のWebサイトにその資料が公開されています。見たことないですか?

https://www.jtca.org/tc_award/MOY_2020.pdf

勉強不足ですみません(笑)。次回はマニュアル評価と国際規格について教えてください。

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徳田直樹 プロフィール