[とくダネ!ナオキ 第56話]AI規則法案、EU議会通過(記事)
EUのAI規則法案が3月13日にEU議会を通過した。
この規則では、以下のように、すべてのAIシステムに適用される一般原則が定められている。
本規則の適用を受ける全ての事業者は、倫理的で信頼できるAIこ対する首尾一貫した人間中心の欧州のアプローチを促進するハイレベルの枠組みを確立する以下の一般原則に従って、AIシステムまたは基盤モデルを開発し、使用するよう最善の努力を払わなければならない。
人的監視 | AIシステムが、人間に奉仕し、人間の尊厳と個人の自律性を尊重し、人聞が適切に管理・監督できる形で機能するツールとして開発・使用されること。 |
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技術的な堅牢性と安全性 | AIシステムが、意図しない予期せぬ危害を最小化するように開発され、利用されること、また、意図しない問題が発生した場合に堅牢であること、悪意のある第三者によるAIシステムの用途や性能を改変しようとする試みに対して強靭であること。 |
プライバシーとデータガバナンス | AIシステムが、品質と完全性の面で高い基準を満たすデータを処理しながら、既存のプライバシーとデータ保護規則を遵守した上で開発・使用されること。 |
透明性 | AIシステムが、適切なトレーサビリティと説明可能性を可能にする方法で開発され、使用されること。同時に、人間がAIシステムとやり取りすることを認識させ、また、AIシステムの能力と限界について利用者に、また、影響を受ける人々にその権利について適切に通知すること。 |
多様性、非差別、公平性 | AIシステムが、多様な主体を含み、平等なアクセス、男女平等、文化的多様性を促進する方法で開発・使用されるとともに、法令で禁止されている差別的影響や不当なバイアスを回避すること。 |
社会的・環境的福祉 | AIシステムが、個人、社会、民主主義への長期的な影響を監視・評価しながら、持続可能で環境に優しい方法で、また全ての人間に利益をもたらす方法で開発・使用されること。 |
この規則では以下のことが禁止されている。
- サブリミナル技術を使用するAIシステム
- 子供や障害者等を搾取するAIシステム
- ソーシャルスコアリング
- 公衆がアクセス可能な空間における法執行目的でのリアルタイム遠隔生体認証システムの利用
この規則の衝撃的なところは、EU域内にAIシステムを提供する域外企業も適用対象としていることと、禁止事項に対する違反の場合、最大で3,500万ユーロ、又は、前会計年度の全世界の年間総売上高の7%以下のいずれか高い方の罰金が科されることである。大企業の場合とんでもない金額になる可能性がある。GoogleやOpenAIなど生成AIのプロバイダーにとっては大変な法律が近いうちに発効するのである。
AI規則に関する最新情報については以下のニュースサイトを随時チェックしていただきたい。
https://www.europarl.europa.eu/news/en