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[とくダネ!ナオキ 第44話]景品表示法改正

以前にもたびたび触れました景品表示法についてですね?

令和5年5月10日、「不当景品類及び不当表示防止法(略称:景品表示法)の一部を改正する法律」が成立しました。一部を除く主要部分は、1年6月を超えない範囲で施行されます。

一般的には消費者を守るための法律という認識だと思いますが、どのようなところが改正されたのですか?

まず、現行の景品表示法についてざっと復習しましょう。

この法律で一番興味を引くのは「課徴金納付命令(第8条)」です。優良誤認表示や有利誤認表示を行った事業者に課徴金の納付を命令するという条文です。
課徴金の金額は対象商品・役務の売上額の3%です。対象期間は3年を上限としていますが、違反事業者が相当の注意を怠った者でないと認められるときは、課徴金を付加しないとも規定されています。また、事業者が所定の手続きに沿って自主返金を行った場合(返金措置を実施した場合)は、課徴金を命じない、または減額することも規定されています。

つまり罰則金の規定はあるものの、きちんと対応したと認められる場合はその限りではないということですね?

今回の主な改正事項は次のとおりです。

事業者の自主的な取組として、優良誤認表示の疑いのある表示をした事業者が是正措置計画の認定を受けたときは、措置命令、あるいは課徴金納付命令の適用を受けないこととする確約手続を導入した。また、違反行為に対する抑止力の強化として、10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対して、課徴金の額を1.5倍に加算する規定が新設された。同時に、優良誤認表示・有利誤認表示に対して、直罰(100万円以下の罰金)が新設された。
また、事業者の自主的な取り組みを促進するために、事業者の自主的な取組として、優良誤認表示の疑いのある表示をした事業者が是正措置計画の認定を受けたときは、措置命令、あるいは課徴金納付命令の適用を受けないこととする確約手続が導入された。

今回の改正は、近年、インターネット上のアフィリエイト広告による優良誤認表示や有利誤認表示が増えていることに対応するためだそうです。

企業の自主性を重んじると言うことでしょうか? それにしてもメディアが多様化したことでアフィリエイトやステマであるかどうかもわかりにくい時代になったと思います。
そもそも優良誤認表示とはどういったケースになるのでしょうか?

優良誤認表示に該当するのは、商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為です。消費者庁のホームページには次の例が掲載されています。

インターネット接続サービスについて、最大通信速度が保証されていないにもかかわらず、単に「通信速度最大○○Mbps」と、通信設備の状況等によっては通信速度が低下する場合がある旨を明示せずに、あたかも常に最大通信速度でサービスの提供を受けることかできるかのように表示する場合。
消費者庁ホームページより転載

消費者庁ホームページより

有利誤認表示はまた異なるのですね?

そうです。有利誤認表示に該当するのは、商品・サービスの取引条件について、実際よりも有利であると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に安いわけでもないのに、あたかも著しく安いかのように偽って宣伝する行為です。こちらも消費者庁のホームページに次の例が掲載されています。

「送料無料」と強調表示した上で、「送料が無料になる配送地域は東京都内だけ」という配送条件をリンク先に表示する場合、例えば、ハイパーリンクの文字列を小さい文字で表示すれば、消費者は、当該ハイパーリンクの文字列を見落として、当該ハイパーリンクの文字列をクリックせず、当該リンク先に移動して当該配送条件についての情報を得ることができず、その結果、あたかも、配送条件がなく、どこでも配送されるかのように誤認する場合。
消費者庁ホームページより転載

消費者庁ホームページより

景品表示法に違反した事例と社名は消費者庁ホームページに掲載されるから企業としてはこれだけでもイメージダウンという罰則が与えられると思います。
この中から優良誤認と判定された最近のケースでキリンビバレッジの果汁表示ですが、けっこう恣意的かつ悪質と思いますが?
https://www.caa.go.jp/notice/entry/031801/

2%しかメロン果汁が入っていないのに「100% MELON TASTE」や「メロンテイスト果汁100%」などと表示していた件ですね。
確信犯だと思えますね。メロンテイスト果汁なんて用語は、ここで使われるまで存在しなかったでしょうね。優良誤認させようとして、「メロンテイスト」と「メロン果汁」を合わせた造語に思えます。最近、いろいろなものを見て思うのは、デザイナーやコピーライターにコンプライアンスの正確な知識がないのではないかということです。このケースでは、メロンテイスト果汁はメロン果汁じゃない、だからその用語を使えば100%と書いてもいいという意識があったのでしょう。しかし、ユーザーが勘違いすることを期待してこの表示をしたと思います。それが優良誤認と判定されるとは思っていなかったのでしょう。

なるほど。商品のパッケージはそのものが広告的意味を帯びますから、これではほとんどの人がメロン果汁100%と捉えてしまうと思います。
このような例は根本的にモラルの問題だと思いますが、景品表示法に違反、あるいは措置命令を受けるような企業はそもそもモラルや意識が欠如していると思いますか?

校閲が正しく行われていないのだと思います。モラルやコンプライアンスを守る意識はあるはずなのですが、判断基準が自分たちに対して甘いのでしょうね。いや、校正だけ行って校閲を行ったつもりになっているかもしれないです。校閲に対する正しい知識を持ってほしいです。リスクマネジメントの観点から校閲は必ず行うべきなんです。

景品表示法に違反していると思ったら、消費者は積極的に通報(景品表示法違反被疑情報提供フォーム)すべきだと思いますか?

すべきだと思いますが、消費者庁の「景品表示法違反被疑情報提供フォーム」は名前が仰々しいので、そこで躊躇するユーザーがいるのではないでしょうか。さらに、会社の住所などを調べて入力しなければならないので手間がかかりますし、入力項目が多いので、面倒くさくなって通知をやめるユーザーもいるのではないでしょうか。疑わしい表示と会社名をスマホで撮って、それをアップロードするだけの通報サイトがあればハードルは低くなると思いますがどうでしょう。

デジタル庁とも連携しなさいということですね。(笑)
上記キリンが1915万円の支払いに対し、抱っこひもは3億7500万円! とある抱っこひもがこれだけ売れるというのは意外です。
https://www.caa.go.jp/notice/entry/022446/

単価が違います。それに、誰だって負担が軽くなればいいと思っているので、肩への負担が7分の1と書いてあれば優良誤認して買いますよ。こちらのほうが、科学的根拠がないのにあるかのように書いているので悪質ですね。

いずれにしてもメーカーは正しさと誠実さを増々問われますね。

徳田直樹 プロフィール