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[とくダネ!ナオキ 第29話]自転車と道路交通法の関係(その1)

今回は交通ルールのハナシとか?

そうです。ちょっと長くなりそうなので覚悟してください。

先日、芝5丁目の横断歩道を渡り始めたら、突然目の前を自転車が横切っていきました。とっさに危ない!と思いましたが、歩行者がいるのにその自転車がスピードを緩めた様子はありませんでした。

通ったコースは下図の赤い曲線で、そのまま港勤労福祉会館の前の歩道に侵入して、地図上方へ走行していきました。私の動きは緑の矢印です。このとき横断歩道を渡ろうとしていたのは私を含めて両方向合わせて10人くらいはいました。

Google Mapより

Google Mapより

これはよくありますね。昨年流行ったデリバリーサービス自転車の事故もずいぶん話題になりました。

この自転車は道路交通法(以下、道交法)に違反しているのは明らかです。自転車がペダルを踏み込みながら走行スピードで車道を進行してきたのですから、この場合は軽車両とみなされます。

恐らく、その前は右の横断歩道のあたりで歩道から車道に出て、私の前を横切っていったのでしょう。この交差点は歩車分離式なので、歩行者が渡り始めた時点で車両用の信号は全方向赤です。したがって完全に信号無視です。

自転車は横断歩道を渡ることは許されますが、降りて手で押して渡る場合だけです。しかしこの自転車は私の前と港勤労福祉会館前で2度、横断歩道を歩行者が歩いている状態で徐行せずに横断歩道を横切っています。

この辺りは交通量が多いので、歩道にはすべて次のような自転車走行可の道路標識があります。

歩行者優先

歩行者優先の道路標識

歩行者優先ですから、歩道上で歩行者が立ち止まるような運転は許されません。しかし、この自転車は歩道に進入後も速度を緩める様子はなかったですね。

道交法上何に該当するのかわかりませんが、信号無視と危険行為で罰せられるのではないですか?

その通り道交法違反で罰せられる行為ですね。
別の日に同じ交差点で逆方向に横断歩道を渡っていると、私の右側をすごいスピードで、恐らく時速20 km以上は出ていたと思います、スポーツ自転車が品川方面へ走りすぎていきました。もちろん車両用信号は赤です。

Google Mapより

Google Mapより

交差点に進入する時点で車道を走ってきたか、歩道を走ってきたかは定かではないのですが、交差点内で加速したわけではなさそうなので、かなりの速度で走ってきたことは確かでしょう。このとき自転車が横切った横断歩道を渡っている歩行者は10人以上いました。本当に危険だと思いますし、やはりこのような自転車による事故が増加しています。

これらの例だけではありません。ネットを探せば自転車の走行マナーに対する批判は数多く見つかります。原則歩道走行禁止であるのにもかかわらず、ベルを鳴らして歩行者を蹴散らせながら我が物顔で走る自転車も数多く見受けられます。まるで自分たちに歩道を走る権利があると考えているかのごとくです。

そのときの自己の都合に合わせて、あるときは軽車両、あるときは歩行者に変身するのです。横断歩道を運転したまま渡ることも日常茶飯事です。横断歩道を手で押しながら渡るのは警察官以外ではほとんど見たことがありません。

最近では自転車走行レーンが車道に設けられる公道も多くなりましたが、違法駐停車の問題があり、車だけでなく自転車の走行の妨げになっていることも事実だと思います。
個人的には、
・自転車走行レーンがある駐停車禁止エリアでの停車は一発アウトにする。
・例外として物流車だけ(当面)停車を認める。
・商業エリアにおいて、一定規模のビル等を新たに建設する場合は搬入・搬送エリアの設置を建築基準法で義務付ける。
などの施策をすれば良いと思います。これについてはどうでしょう?

自転車走行レーンに違法駐車する車は確かに多いです。ドライバーに自転車走行レーンは認識されていないと思われます。

一度免許を取ってしまえば、道交法を改めて勉強するのは免許更新時に優良ドライバーでなかったときだけです。知識の更新がなされていないのです。だから、自転車走行レーンに駐車しても罪の意識はない。自転車は危険を感じるので歩道を走る。ということです。

みんな法律を知ろうとする気がない。法律を犯してはいけないとは思っていても法律を知らないから守らない。やはり、小学校や中学校でもっと生活に密着した法律を教えなきゃならないと思います。高校で金融を教えるなら中学校で道交法を教えるべきです。そのうえで上述のような方策を厳しくとればよいと思います。

自転車は軽車両だという認識と同様に、車のドライバーは自転車走行レーンと同様に駐停車禁止の意味を理解していないか、意識していないかも知れませんね。
特に都会におけるそれらエリアの違反駐停車をもっと取り締まるべきだと思います。
それこそICチップを搭載することを義務付けるか、マイナンバーよろしくマイカーナンバーで自動取り締まりができるようにすればと思うのですが、車産業が反対するかもしれませんね。

駐車違反は世界中で行われていますね。罰金を取っても守らない。駐停車する必要性の価値の方が罰金より高いということでしょう。欧米では厳しくしすぎると暴動が起こりかねません。

ICチップを搭載してもドライバーを特定できないのでコスパが低くなりそうですね。駐車違反はどこの国にとっても大きな問題です。罰則を厳しくするだけでは解決しそうもない問題です。

そうするとモラルの問題と言うことになるのでしょうか。

2番目に示した例と同じように、車道を走ってきて歩車分離式の十字路に差し掛かったとき、車両用信号が赤だと、そのまま横断歩道に沿って乗ったまま十字路を通過し、再び車道を走っていく自転車を何度も見かけます。本当に自分に都合よく軽車両と歩行者を切り替えているのです。かなり悪質ですね。

そこで、改めて道交法の自転車に関する部分を調べてみますと、次のとおりです。

  • 自転車は軽車両である(道路交通法二条1項十一号)
  • 軽車両は車両である(道路交通法二条1項八号)
  • 車両は、歩道のある道路においては、車道を通行しなければならない(道路交通法十七条1項)
  • 自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて通行しなければならない(道路交通法十八条1項)

もちろん次のように例外も定められています。

(1)歩道に「自転車通行可」の道路標識や、道路標示がある場合。

(2)歩道に「普通自転車通行指定部分」の道路標示がある場合。

(3)運転者が13歳未満又は70歳以上、または身体の障害を有する者である場合。

(4)歩道を通行することが「やむを得ない」と認められる場合。

この「(4)やむを得ないと認められるとき」というのを運転者本人が勝手に危ないと判断したときだと解釈してはなりません。警察官などが危ないと判断したときであることに注意しなければいけません。

そうですね。自転車本位の判断だと、車の駐停車などにより車道を走ることができないからやむを得ず歩道を走った、ということも言い分としては成り立ちますね。

しかし歩道を走行する場合は原則徐行でなければいけません。

次の写真は私が時々通る道路です。向かって右の歩道は識別しにくいですが写真の右隅に自転車走行可の標識があります。左の歩道は若干細いためか始点から終点までの間にそのような標識はありません。車道の左側に描かれているように、自転車は車道の左側を走らなければいけないのです。ところが、自転車はどちらの歩道も我が物顔に走っています。狭い側の歩道を歩いているとき結構危険を感じる場合もあります。

Google Mapより

Google Mapより

原則として自転車は歩道を通行することはできません。ただし例外があります。道交法六十三条の四にそれが規定されています。

六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
六十三条の四 2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。

第六十四条の四の1項三号において「やむを得ない」とは、客観的な状況が存在することを確認した上でなければやむを得ないとは言えないことに注意が必要です。運転者個人が、車道走行が危ないと感じてもそれだけでは歩道走行が許される理由にはならないのです。

自転車で歩道を走行する場合、歩道の中央より車道寄りの部分を徐行しなければならないのに、それを守らない運転者が多いと感じます。

徐行というのはすぐに停止できる速度、ということですよね。Webで見ますと、警察によれば自転車の徐行速度は時速7.5 km、一般的には4 kmとされているようです。

歩道を歩いていて危険だと思う行為に、スマホを使いながら自転車を運転している人に遭遇するときです。子供を載せながらスマホのながら運転をする人を何度見たことか。子供を危険にさらす行為なのに、平気でながら運転する母親がいかに多いかということです。

大阪府のように条例で自転車のながらスマホを禁止している自治体もあります。現時点で道交法では自転車はスマホ禁止の対象から外れています。早急に道交法でも自転車のながらスマホを禁止してもらいたいですね。

歩行者に対してベルを鳴らすことも禁止されています(道路交通法第五十四条2項)。片側1車線の歩道のある道路の車道の右側を逆走する自転車も多くみられます。自動車を運転しているときに遭遇すると危なくてしょうがないと感じます。実際道交法違反です(第十八条1項)。

自転車は法律上軽車両であるにもかかわらず、日本ではほとんど見過ごされていると思います。
これは欧米やOECD加盟国の実情と比較してもかなり例外であると感じます。欧米では歩道を走行するどころか、ONE WAYを逆走すると必ず注意されます。
というように、諸外国の常識から見てもかなり外れていると思いますが、これについてはどうでしょう?

フランスでは自転車で歩道を走ると罰金です。信号無視、逆走など90ユーロの罰金だそうです。1ユーロ130円とすると11,700円です。

日本ではまず罰金を取られることはありません。法律上は歩道走行すると『3か月以下の懲役または5万円以下の罰金』です。でも、よほど悪質でない限り適用されることはありません。

これは、日本にはママチャリが多いせいもあると思います。欧米では荷物を運んだり子供を乗せたりすることはまずないですが、日本では自転車は生活必需品になっていることが大きな理由だと思います。

子供を乗せて買い物に行かなければならない。車道を走るのは危険ではないか。だから歩道を走るのだという自転車運転者の言い訳がまかり通っているわけです。しかし、欧米だって車道を走るのはかなり怖いです。パリのクルマの荒っぽい運転を見るととても自転車で車道を走る気にはなれません。向こうの人はみんな平気で走ってますけど。

自転車に乗る人のほとんどが道交法の存在すら知らないので、まず自転車を買うときに道交法の講習を受けなきゃならないようにするのがいいと思うんですがどうでしょう。

そうですね。以前、歩道を走行してきたママチャリにカバンを引っかけられ、お互い大惨事になりかけたことがありました。もちろん私は基本歩道では自転車を避けませんし、譲らないのです。(笑)
そのママ様から「ほんまに~危ないなァ!」と、まさに歩行者が避けろと言わんばかりに吐き捨てられました。たぶんこういう人は道交法を理解していませんね。

道交法違反と言えば、昨今の電動キックボードも気になります。電動キックボードは原付自転車であり、ナンバープレートが必要です。さらにバックミラーを装着しなければならない。ネットショップで売られている電動キックボードのほとんどがナンバープレートを付けられるようにはなっていないし、バックミラーも付いていません。公道は走れない仕様です。購入者のどれくらいが道交法を理解しているのか疑問に思いますね。

電動キックボードについては、その利便性から普及を促進しているフシもあるようで、時速20 km(現時点では15km)以下なら小型低速車に分類して軽車両には含めないということも検討されいます。ただし、歩行者には自転車同様に危険な存在になることも目に見えてます。また、時速リミッターを自力で解除できたり、はじめから20 km以上出せたりする製品がECサイトなどで簡単に手に入ります。
その製品のユーザーが事故を起こした場合、メーカーや販売者側にはどういった責任が生じますか?
また、取扱説明書に記載する内容は何か変わってきますか?

電動キックボードについて、時速20 km以下は小型低速車という新しい区分が検討されているのですね。歩道走行を認めないのであれば、私はいいと思います。恐れるのは、車道を走られては邪魔だという自動車運転者の声と、車道を走るのは危険だという電動キックボードライダーの声に押されて、自転車と同じく歩道走行を認めることです。

新たな交通戦争、という感じもしますね。

リミッターなしで時速20 km/h以上出せない製品を製造するのはかなり難しいと思いますし、コストも高くつくでしょうしメーカーがそのような製品を製造することはないでしょう。となるとリミッター付きの製品が普通の製品となります。販売者の責任ですが、時速20 km/h以上出る車両を販売すれば違反は問えますが、リミッターを解除して起こした車両についての責任は問えないと思います。

トリセツには改造するなと書いてあるはずですし、公道を走れない製品については、公道は走れないと明記されているはずだからです。法律を守らないのは製品の所有者なのだと主張するでしょう。そのとおりですが…。

ネット社会ですからね。その改造方法がネットで紹介されていることも少なくありません。

道交法違反の確信犯は厳しく取り締まればよいと思います。しかし、大部分の自転車運転者が道交法について知らないように思うこともあります。法律は制定する側が伝える努力はしない。知らない者が悪いのです。しかし、歩行者が危険にさらされるような状況が頻発する時代なのだから、政府がもっと伝えることに努力した方が良いと思いますね。

ありがとうございました。

徳田直樹 プロフィール