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[とくダネ!ナオキ 第6話]安規情報とマニュアルの課題

せっかく新しい製品を買ってハッピーな気分なのに、マニュアルを開くとあれはダメ、これはダメという情報が冒頭から山ほど載っていてがっかりすることも少なくありません。以前にたいていのマニュアルでこれが問題になっているということをお聞きしましたが、では一般的にマニュアル部門の担当者は現状どういうマインドなのでしょうか?

前にも言いましたが、そういうケースでは変えることを望ましく思っていないので、結局現状維持で進めているところが多いですね。もちろん担当部門によっても違います。同じメーカーでも、きちっと整理をし始めている部門もあれば、そうでない部門もあります。

結局のところ、その部門の担当者が変えたくない、と思っている限り話が進みません。つまり開発部門までその話が行くことがないということです。リスクアセスメント文書の入手に関しても、マニュアル部門でその話が煙の如く消えてしまいます。

整理する、ということはコストが掛かるということですからね。ただし、安規情報が多すぎるということもコストが掛かるということです。つまり、実はコスト削減にはなっていないのです。

もっと言えば、このことが会社にとってリスクであることに、そのくらいの立場の人なら気づいて欲しいですね。安規情報が整理されずに、それが原因で事故が起きたとき、会社が背負う経済的損失ははかり知れません。某大手メーカーも何度も経験していますね。

たとえば、扇風機の寿命を書いていなかったために、20年以上使った扇風機が火を噴くわけです。最初から寿命を書いておけば、ああいうことは起こらなかったのです。設計上把握していることなんですから。

確かにそうですね。ただ、扇風機のような、ある意味モーターだけの製品ですと、日本製の場合一生回り続けているイメージがあります。

ユーザーの安全に関して言えば、日本の製品は世界一安全です。安全率を見込み過ぎるくらい見込んでいますから。ただ、10年、20年も使うと絶縁劣化くらいしてきます。そういうのははっきりしているわけで、それを明記していないから逃げようがなくなります。でも寿命10年と書いておけば、それ以上使ったユーザーの誤使用と言えるわけです。10年使ったら買い替えてくださいと書けばいいんです。

冒頭でも触れましたが、マニュアルを開くと安規情報が先頭からぎっしりというのをよく目にします。あれはマニュアルの先頭に記載することが規定されているのでしょうか?

規定はあります。ただし、先頭にあれだけの情報を入れる必要はありません。前に記載が必要なのは安全のための注記と呼ばれる全般情報だけです。ですから、使用制限を書いてしまえば意外と簡単なんです。

先頭の安全ページに記載され、本編にも重複して入っているという情報もありますね。

そういった情報は本編だけに記載すれば良いのです。何故かと言うと、コンテクストの中で、その機能を使うときにだけ必要な情報の場合、最初に記載する必要はありません。最初に書くのはあくまでも全般に関してのことだけで良いのです。逆に言うと、本文中にある情報は、前に書く必要はありません。規格にはそう書かれています。

その辺りが整理させずに、膨大なことになっているケースが多いですね。繰り返しになりますが、それが企業にとってのリスクになっていることを忘れてはいけません。

お聞きする限り、安規情報の整理の仕方はありますし、少なくともそのプロセスを体系立てて取り組んでいけば、もっと整理できると思いました。

最近の規格はプロセスを重視するようになりました。規格と照らし合わせていくらでも整理する方法はあります。また、別の機会にもう少し詳しくお話ししましょう。

本日もありがとうございました。

徳田直樹 プロフィール