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事例紹介

翻訳

安全規格定型文データベースの翻訳

安全規格定型文データベースの翻訳

某大手電子機器メーカー様から、安全規格定型文データベースに登録するデータの翻訳のご依頼を承りました。定型文の英訳と多言語への翻訳に留まらず、翻訳しやすくて誤訳されにくい英訳、翻訳メモリー作成による効率化、訳文のデータベースへのインポート/エクスポートフローの確立などを提案することで、データベース構築に協力させていただきました。

ご依頼の背景

お客様はこれまで安全規格文1つにつき1言語ずつWordファイルで作成し、そのファイルを安全規格のカテゴリーごとに分類して管理していました。ファイル数が膨大となって管理が煩雑になり取説制作時に正確な安全規格文を提供できなくなるだけでなく、異なるカテゴリーに同じような内容があっても記載が揃わないなどのさまざまなな問題を抱えており、その解決のためにシステム開発を検討されていました。
そこで、取説制作知識が豊富で、翻訳対応言語数が多くその品質にも定評があり、安全規格文の翻訳にも精通しているという理由で弊社にお声がかかりました。

主な制作工程とテクニック

既存の定型文の整理

すでに必要な言語への翻訳が済んでいる既存の定型文はすべてお預かりし、言語ルールに従っているか・文字化けなどの問題はないかなどチェックして、定型文を崩さずに翻訳品質の向上を図りました。

英訳から始める定型文翻訳の前処理

原文となる英語の定型文は、その英訳から多言語に翻訳展開する前に、英文ネイティブライターがリライトしました。原文に文法上などの問題がないかを確認し、定型文によって文体にばらつきがないように注意しながら、多言語への翻訳時に誤訳されないようなシンプルな英文に仕上げました。対象製品に精通している英文ライターが専属で担当することで、より的確で規格に従った文章の提供が可能でした。
リライトされた英文をTRADOSの翻訳メモリーに登録することで、同様の文章で表記にばらつきがないかをカンマひとつに至るまで詳細にチェックしながら作業を進めて翻訳の精度を向上しました。英文しかない定型文や、新しく追加された定型文などにすべてこの処理を適用しました。

多言語展開のポイント①:ターゲット言語によって必要となる情報確保

多言語展開時には、事前に丹念に原文をチェックしました。対象とする製品の情報や用語表記など、お客様のご指定・ご要望をヒアリングしたうえで、用語や表記の不統一が起きたり間違った解釈をされたりしないよう、多言語翻訳者とコンセンサスを取りながら進めました。
たとえば英文では「Battery」と包括的に言い表すことができても、言語によっては形状や充電できるできないによって用語が異なることがあります。原文にこのような可能性がある用語を探し出し、その用語の意味について具体的な情報を入手したうえで、正確な訳語に翻訳してもらうようにターゲット言語の翻訳者に手配しました。

多言語展開のポイント②:翻訳メモリーによる用語統一

あらかじめ既存の訳文を元に作成しておいた翻訳メモリーに従って多言語翻訳を進めましたが、どこまで既存訳に従うか、翻訳改善をしてよいかの判断が難しい点でした。
既存の訳文によっては「指定文言のために変更不可」というものがあるのですが、事前に意識のすり合わせができていないと、翻訳者によって訳文を改善されてしまうことがあります。そこで、事前にお客様に既存訳の扱いを明確にしていただき、「修正不可」「修正可」「報告のうえで修正を判断」に分類して管理リストに記載し、翻訳者とも共有することによって、このような行き違いを回避しました。

訳文チェックとフィードバック

翻訳者によっては大胆に意訳することがあるため、訳文チェック過程において全文をていねいにチェックし、ミスや解釈が間違っていると思われる箇所は何度も翻訳者とやりとりして解消に努めました。また、Xbenchなどのツールを使用し、訳文のブレや用語の不統一、ビュレットやアポストロフィの形状に至るまで詳細にチェックしました。そのすべてを専任の翻訳者にフィードバックすることで翻訳品質の維持・向上を図りました。

効果

システムやツールの運用、経験と知識に基づく的確な作業フロー、お客様との密なやりとりなどに基づき、高い品質が求められる安全規格文のデータベース構築を実現できました。